研究課題/領域番号 |
22K06866
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48030:薬理学関連
|
研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
中川西 修 東北医科薬科大学, 薬学部, 准教授 (50296018)
|
研究分担者 |
大河原 雄一 東北医科薬科大学, 薬学部, 教授 (40333801)
小野木 弘志 東北福祉大学, 健康科学部, 准教授 (50610200)
根本 亙 東北医科薬科大学, 薬学部, 講師 (80635136)
高橋 浩平 国際医療福祉大学, 薬学部, 助教 (90846411)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | アンジオテンシン変換酵素2 / うつ病 / アンジオテンシン1-7 / Mas受容体 / アンジオテンシン変換酵素2 / うつ病動物モデル / 海馬 |
研究開始時の研究の概要 |
抗うつ薬の服用で寛解しない患者が約3割存在することから、従来の治療薬とは異なった機序の薬の開発が急務である。我々は高血圧治療薬のアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬であるカプトプリルがうつ病動物モデルで効果を有することを報告した。この抗うつ効果は、ACE2を活性化していた為、本研究では、ACE2活性化薬やACE2により産生される物質が結合する受容体の刺激薬をうつ病モデル動物に投与し検討することにより、新しい抗うつ薬が見出される可能性が期待される。
|
研究実績の概要 |
脳内アンジオテンシン(Ang)変換酵素(ACE)2の活性化による抗うつ様作用の機序を解明する為、昨年度は、ACE2活性化薬であるDiminazene (DIZE)をマウスの脳室内へ投与し行動薬理学的手法により検討した。その抗うつ様作用の機序としては、ACE2活性化により脳内のAngⅡがAng(1-7)を産生し、そのAng(1-7)がMas受容体を活性化する経路(ACE2/Ang(1-7)/Mas受容体シグナル経路)の亢進により作用を発現している可能性を示した。 本年度は、脳内のどの領域(大脳皮質、前頭前皮質、海馬、扁桃体)が抗うつ様作用に関与しているか領域毎にACE2活性化を生化学的手法により測定した。さらに、活性化している領域でACE2がどの細胞種(神経細胞、ミクログリア、アストロサイト)に発現しているか免疫組織化学的手法を用い共焦点レーザー顕微鏡で解析した。結果として、DIZE脳室内投与により特に海馬におけるACE2が活性化していることを明らかにした。その海馬のACE2は、ニューロン、アストロサイト、ミクログリアに局在していた。 以上の結果から、DIZEは海馬のACE2陽性細胞に作用してACE2の活性を高め、ACE2/Ang(1-7)/Mas受容体経路のシグナル伝達を増強し、抗うつ様作用をもたらす可能性が示唆された。これらの研究成果は、査読有の海外学術雑誌 Molecular Brainの16巻1号の52ページに掲載された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度及び本年度の結果をまとめ論文を作成したが、追加実験等を行っていたので、当初の計画よりもやや遅れている。ただし、論文が受理され研究成果として公表できた。
|
今後の研究の推進方策 |
ACE2活性化による抗うつ様作用のメカニズムをnaiveマウスを用いて明らかにした。今年度は、抗うつ薬の慢性投与により反応するOBXマウス及び抗うつ薬に対して抵抗性を示すコルチコステロン慢性投与マウスの両モデルを用い、ACE2活性化薬DIZEを用い効果を行動薬理学的に検討する。さらに、これら2つのモデルの脳内ACE2やMas受容体レベルの変化やこれらの分子が存在する細胞種の役割等を分子薬理学的及び免疫組織化学的手法を用いて研究する予定である。
|