研究課題/領域番号 |
22K06868
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48030:薬理学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
太向 勇 日本大学, 医学部, 助教 (20836556)
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研究分担者 |
金丸 和典 日本大学, 医学部, 准教授 (10456105)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | インスリン分泌 / カルシウム / IP3 / カルシウムシグナリング / IP3シグナリング / β細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
血中インスリン濃度は数分周期でオシレーションしており、膵臓の無数のβ細胞による同期したCa2+オシレーションによってパルス状にインスリンを分泌していると考えられているがメカニズムは不明である。本研究では迷走神経から分泌されるアセチルコリンによるIP3受容体から小胞体(ER)内腔のCa2+放出による細胞質のCa2+オシレーション調節システムが同期メカニズムの一旦を担っている可能性を検証する。本研究により得られる知見は、β細胞におけるCa2+シグナル機能の理解を深めるだけでなく、インスリン分泌の人為制御法の開発に繋がることが期待できる。
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研究実績の概要 |
前年度では、膵β細胞からのインスリン分泌におけるIP3シグナルによる調節機構の解明のために、マウス単離膵島においてインスリン分泌のトリガーとなるカルシウムイオンのイメージングを行った。膵β細胞は高濃度グルコース下において、アセチルコリン受容体刺激に対して特異な反応を示すことを報告した。さらにはその特異な反応がIP3シグナル阻害下では観察されないことも報告した。 本年度ではさらにその特異なカルシウムシグナルがインスリン分泌にどのような影響を及ぼすか検証した。その為に、単離膵島におけるカルシウムイメージとインスリン分泌の測定を同時に行う実験系の確立を試みた。具体的にはマイクロ流路に単一の単離膵島を固定し、灌流下でのカルシウムイメージングを行いながらその灌流液を経時的に回収し、ELISA法によって灌流液中のインスリン濃度を測定することで膵島からのインスリン分泌量を求める実験系を確立した。マイクロ流路や単離膵島の固定方法加えて、単一膵島から灌流液中に分泌されたインスリンを測定するために最適な感度のELISA法の検討を行った。 その結果インスリンの分泌は予期した通りにカルシウムオシレーションとほぼ同様の動態でオシレーションしていることが確認された。また、そこにアセチルコリン受容体アゴニスト刺激を行ったところ、特筆すべきインスリン分泌動態が観察された。 さらには、これまで行ってきたパルス状のアセチルコリン受容体刺激に加えて低濃度で持続的な刺激についてのカルシウムイオン動態の観察及びインスリン分泌における影響も評価した。いずれもこれまでの知見から予想される反応とは異なるやや特異な反応が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目で予定していた、IP3シグナルのインスリン分泌における影響を評価することに成功した。灌流下において単離膵島のカルシウムイメージングを行いながらのインスリン分泌の測定はこれまでにもあまり例がなく、極めて困難な実験系の確立に成功している。さらにはこの実験系により、これまでにあまり注目されていなかったアセチルコリン受容体刺激のインスリン分泌における影響について新しい知見を得た。
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今後の研究の推進方策 |
今後はIP3シグナルを阻害することが可能な遺伝子改変マウスから採取した膵島でも同様の実験を行い、高濃度でパルス状の刺激と低濃度で持続的な刺激で見られたインスリン分泌における反応がIP3シグナル依存的であるかどうかについて研究を進めて行く予定である。また、今年度新たに発見した低濃度で持続的なアセチルコリン受容体刺激に対する特異な反応についてより詳細なカルシウム及びインスリン分泌の動態を解析する。加えてその分子的な基盤を明らかにするために、IP3シグナルを阻害することが可能な遺伝子改変マウスを中心に研究を進めていく予定である。
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