研究課題/領域番号 |
22K06870
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48030:薬理学関連
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研究機関 | 神奈川工科大学 |
研究代表者 |
馬嶋 正隆 神奈川工科大学, 健康医療科学部, 特任教授 (70181641)
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研究分担者 |
松田 康広 神奈川工科大学, 健康医療科学部, 教授 (80329309)
渡邉 紳一 神奈川工科大学, 健康医療科学部, 教授 (30333157)
西村 宗修 神奈川工科大学, 健康医療科学部, 助教 (30879408)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | リンパ管新生 / CGRP / RAMP1 / 子宮内膜症 / VEGF / VEGF受容体 / リンパ浮腫 / 脂質吸収 / 炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで神経ペプチドCalcitonin gene-related peptide (CGRP)が病態時の血管新生を増強することを明らかにしてきた。リンパ組織の機能変調に起因する病態を対象に、CGRPおよび受容体のリンパ組織の可塑性を制御する分子機構を解明し、難治性疾患の治療法開発への基盤研究を展開する。 リンパ管、リンパ組織の可塑性の変調が基盤にある疾患群を対象に、同可塑性を制御する神経ペプチドCGRPの役割を遺伝子改変マウスを用いて解析する。成果をもとに、1)CGRP受容体シグナルを制御することの治療的意義の検討、2)CGRPアナログ等をツールとして、治療応用のための基盤研究を展開する。
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研究実績の概要 |
複数のモデル(2次性リンパ浮腫、がんリンパ節転移、炎症性腸疾患モデル等)で検討を進めているが、中でも多くの成果が得られた子宮内膜症モデルでの解析結果の概要を本年度は報告する。 異所性子宮内膜症モデルでリンパ管新生を制御するCGRPの役割を、CGRP受容体であるRAMP1のノックアウトマウスを用いて検討した。異所性子宮内膜症の進展は RAMP1ノックアウトマウスで野生型に比較して抑制され、RAMP1 シグナルに依存していた。宿主の腹壁からCGRP陽性神経線維が移植子宮内膜移植片内へ伸長することが観察された。また腰髄近傍の脊髄後根神経節にCGRP 前駆タンパク質の発現が上昇した。移植片の間質組織内に集積したマクロファージや線維芽細胞にRAMP1が発現したが、リンパ管内皮細胞には発現が認められなかった。VEGF-C/D はこれらの細胞からRAMP1に依存して産生された。これから、RAMP1 シグナルが直接的ではなく間質細胞のRAMP1シグナルを介して間接的にリンパ管内皮細胞を増殖させていると考えられた。また、同モデルでVEGFR3 キナーゼ阻害薬を投与して子宮内膜症病変進展へのリンパ管新生の関与を調べると、リンパ管新生の抑制とともに子宮内膜病変が縮小した。これより、子宮内膜症の進展にリンパ管新生が役割を持つことが判明した。CGRP受容体特異的拮抗薬CGRP8-37を投与してRAMP1シグナル経路を遮断すると、子宮内膜症病変の縮小とリンパ管新生の抑制が認められ、同シグナル遮断が治療方策として有効であることが判明した。 リンパ管新生が盛んな部位は、移植片が宿主腹壁組織と接触する境界部であり、同部位にCGRP陽性神経の分布が見られた。子宮内膜症組織が異所性に発達するためには、宿主の腹壁から CGRP 陽性線維が子宮内膜移植片内へ伸長することが重要であることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RAMP1ノックアウトが極めて有用な情報を与えてくれている。適切な病態モデルの開発、適用により、当初の研究目的を達成できる基盤が整った。
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今後の研究の推進方策 |
子宮内膜症モデルでの解析に加え、2次性リンパ浮腫、がんリンパ節転移、炎症性腸疾患モデル等でも検討を進める。 企業との共同研究で、炭酸ガス徐放シートを皮膚に添付すると、CGRP遊離を介した血管拡張、血管新生が増強することを調べている。最近、併せてリンパ管新生を増強することを見出した(特許出願中)。炭酸ガス徐放シートのリンパ浮腫への適応を考えている。
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