研究課題/領域番号 |
22K06872
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48030:薬理学関連
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
衣斐 大祐 名城大学, 薬学部, 准教授 (40757514)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | シロシビン / サイケデリックス / うつ病 / セロトニン5-HT2A受容体 / シロシン / 幻覚薬 / マジックマッシュルーム / 抗うつ薬 / 難治性うつ病 / セロトニン作動性幻覚薬 |
研究開始時の研究の概要 |
シロシビンやLSDなどセロトニン作動性幻覚薬は、大脳皮質におけるセロトニン5-HT2A受容体(5-HT2A)を刺激することで幻覚作用を発揮する。一方、シロシビンが、難治性うつ病に即効かつ持続的な治療効果を示すことから、米国FDAはシロシビンがうつ病治療のブレイクスルーになり得ると発表した。しかし、幻覚薬による抗うつ作用の作用機序は詳しく分かっていない。本研究では幻覚薬の5-HT2A刺激作用に着目し、5-HT2A刺激による抗うつ作用とその神経・分子基盤を明らかにする。本研究課題が達成されれば、セロトニン作動性幻覚薬の抗うつ作用に関わる神経回路を活性化する新たなうつ病治療開発に繋がると期待できる。
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研究実績の概要 |
マジックマッシュルームの幻覚成分「シロシビン」が難治性うつ病に対し、治療効果を示すことから、米国FDAは、シロシビンを難治性うつ病の革新的治療薬になると発表した。現在、シロシビンの抗うつ作用に関する臨床試験として、米国では第3相試験が行われている。世界中でシロシビンのうつ病治療における臨床使用の試みが始まっている。しかしながら、その作用機序は未だ不明である。 我々はこれまでにもマウスにトリプタミン系幻覚薬のシロシン(シロシビンの活性代謝物)やフェネチルアミン系幻覚薬のDOIやTCB-2を投与し、24時間後に抗うつ様行動を調べるために強制水泳試験(FST)、尾懸垂試験(TST)を行ったところ、シロシン、DOI、TCB-2すべてのサイケデリックス(現アック薬)において両試験での無動時間の短縮(≒抗うつ様作用)が認められた。また、これらサイケデリックスで認められたFSTとTSTの無動時間の短縮作用はいずれもセロトニン5-HT2A受容体(5-HT2A)アンタゴニストのボリナンセリンの前処置によって拮抗された。次に、サイケデリックス投与による幻覚様行動について調べたところ、シロシン、DOI、TCB-2投与24時間後のマウスにおいて幻覚様行動は認められなかった。さらにこれらサイケデリックス投与24時間後に自発的運動量を調べたが、溶媒処置コントロール群と差は認められなかった。以上から、これらサイケデリックスで認められたFSTやTSTの無動時間短縮作用は幻覚様行動や運動量による影響を受けずに、5-HT2A刺激を介して出現していることが分かった。これらの研究は、2023年にNaunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol誌に受理された。現在はサイケデリックスの5-HT2Aを介した抗うつ作用に関する神経基盤を調べている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナ感染症の流行による大学への入構や輸入等の制限が緩和され、以前より研究活動の自由度が増したため「おおむね順調に進んでいる」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後はシロシビンの抗うつ作用に関わる脳領域さらに神経回路を同定していきたい。既に我々は5-HT2Aが大脳皮質、扁桃体および外側中隔核に豊富に発現していることを明らかにしている。これまでの報告から、外側中隔核がストレス応答行動や抗うつ作用に関わっていることが分かっている。そこで我々はこれまでにマウスの外側中隔核の5-HT2Aを薬理学的または遺伝学的に抑制したうえでシロシンとDOIの抗うつ様作用を調べたところ、シロシンやDOIによる抗うつ様作用は認められなかった。この結果は、外側中隔核の5-HT2Aがサイケデリックスの抗うつ作用における責任脳部位であることを示唆している。今後は外側中隔核の5-HT2A発現神経細胞の活動とサイケデリックスの抗うつ様作用を調べていきたい。さらに、外側中隔核の5-HT2A発現神経細胞の投射先などを明らかにし、サイケデリックスの抗うつ作用に関わる神経回路を同定し、その機能を明らかにすることでサイケデリックスによる抗うつ作用に関わる神経基盤の全容を明らかにする。
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