研究課題/領域番号 |
22K06876
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48040:医化学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 隆史 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (70508308)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | Keap1 |
研究開始時の研究の概要 |
生体は酸化ストレスや環境毒物(多くは親電子性物質)ストレスに対して、素早く応答・対応して恒常性を維持している。これらのストレスに対する応答系の破綻は様々な疾患発症と密接に関わる。ストレスセンサーKeap1は、転写因子Nrf2のユビキチン化反応を制御して生体防御の中心的役割を担う鍵因子である。これまでにKeap1-Nrf2制御系による親電子性物質や活性酸素種の感知に重要なセンサーシステイン残基が同定されたが、同制御系の活性調節機構は未だ不明である。本研究は、Keap1-Nrf2制御系の構造を明らかにし、ストレス応答における Nrf2活性の調節機構の分子基盤解明を目的とする。
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研究実績の概要 |
生体は酸化ストレスや環境毒物(多くは親電子性物質)ストレスに対して、素早く応答・対応して恒常性を維持している。これらのストレスに対する応答系の破綻 は様々な疾患発症と密接に関わる。ストレスセンサーKeap1は、転写因子Nrf2のユビキチン化反応を制御して生体防御の中心的役割を担う鍵因子である。これま でにKeap1-Nrf2制御系による親電子性物質や活性酸素種の感知に重要なセンサーシステイン残基が同定されたが、同制御系の活性調節機構は未だ不明である。本研究は、ストレス応答における Nrf2活性の調節機構の分子基盤解明を目的とした。X線結晶構造解析およびクライオ電子顕微鏡解析により Keap1の構造を明らかにすることを目指した。さらに、Keap1がストレスを認識すると、どのようにNrf2のユビキチン化反応が停止するのか明らかにし、Keap1-Nrf2制御系によるストレス応答の分子メカニズム解明を目指した。 親電子性物質の感知に主要な役割を担うKeap1-Cys151を含むKeap1-BTBドメインの結晶構造解析を行った。その結果、Keap1-BTB ドメインがホモ二量体を形成することを明らかにした。また、最も強力なNrf2活性化剤の一つである親電子性物質CDDO-ImとKeap1-BTBドメインの共結晶の作製に成功した。X線結晶構造解析の結果、Keap1-Cys151と共有結合していることを明らかにした。また、Keap1-Cys151だけでなく、周囲のアミノ酸残基とも共有結合し、架橋構造を形成していることを明らかにした。本研究成果は、Keap1が親電子性Nrf2活性化剤を感知する分子メカニズムの理解に重要な知見を与えるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、順調に構造解析を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、Keap1、Cul3、 Nrf2のタンパク質発現、精製、結晶化の条件検討を進め、X 線構造解析および、クライオ電子顕微鏡解析を実施する。 Keap1-Cul3 複合体の構造を明らかにすることと並行して、ストレス刺激がKeap1センサーシ ステイン残基を修飾することによ り、Keap1-Cul3 複合体にどのような構造変化を引き起こすのか明らかにして、細胞内で実際にNrf2ユビキチン化を停止する分子メカニズムの解明に挑戦する。 特に、Keap1-Cys151が親電子性Nrf2活性化剤を感知する分子メカニズムを明らかにすることができたので、論文化を進める。 また、今後は、試験管内だけでなく、細胞内における Keap1複合体の構造変化を捉えるため、In-cell NMR を用いた解析を試みる。以上の解析方法を駆使して、ストレス刺激の有無によるKeap1タンパク質の動的な構造変化を明らかにし、Keap1によるユビキチンリガーゼ活性の調節機構解明を目指す。
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