研究課題/領域番号 |
22K06891
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48040:医化学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
葛西 秋宅 弘前大学, 医学研究科, 助教 (20609664)
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研究分担者 |
二階堂 義和 弘前大学, 医学研究科, 講師 (50613478)
岩崎 信太郎 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (80611441)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | Gcn1 / Gcn2 / 翻訳停滞 / Disome / パーキンソン病 / 翻訳 / GCN1 / disome / dopaminergic neuron / Parkinson's disease |
研究開始時の研究の概要 |
リボソームによる翻訳はmRNAやタンパク質の配列により速度が異なり、リボソームの衝突を認識して翻訳の促進または中止を制御するリボソーム品質管理(RQC)が知られているが、RQC因子の変異が神経変性疾患を引き起こすことが明らかになりつつある。本研究は衝突リボソームに結合するアミノ酸飢餓応答因子Gcn1の生理的機能について、細胞レベルでのGcn1依存的な翻訳制御と、ドーパミン作動性ニューロンにおけるGcn1欠失の表現型を明らかにする。
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研究実績の概要 |
タンパク質恒常性の破綻と異常タンパク質の凝集は神経変性疾患に関わることが知られているが、神経変性にいたる前段階であるストレス発生の機序については不明な点が多い。近年、リボソーム品質管理 (RQC) に関わる因子が翻訳停滞により衝突したリボソーム (disome) を認識することで翻訳停滞の解消や翻訳の中止を引き起こし、RQC因子の変異による翻訳異常は神経変性の原因となることが分かってきた。リボソーム結合タンパク質であるGcn1はアミノ酸飢餓ストレスに応答し、プロテインキナーゼであるGcn2を活性化させることで翻訳開始因子eIF2αのリン酸化を亢進して翻訳開始を抑制する一方、ATF4活性化を介してアミノ酸合成に関わる遺伝子発現を誘導する。近年、酵母Gcn1が非ストレス存在下においてdisomeに結合し、Gcn2を含まない複合体を形成することが明らかとなり、哺乳類細胞においても種々の翻訳ストレスによってGcn1-disome複合体の形成が示唆されている。 我々はGcn1による翻訳調節について、Gcn1を欠失したマウス胎仔由来線維芽細胞(MEF)およびヒト白血病細胞株HAP1を用いてリボソームプロファイリングを行った。Gcn1欠失により特定のコドンの翻訳停滞の変化は見られなかったものの、複数の転写産物においてdisome形成の増加および減少がともに見られ、MEFとHAP1で共通して変動する転写産物においては翻訳停滞の見られる配列も共通していることを見出した。 ドーパミン作動性ニューロン特異的Gcn1ノックアウト(CKO)マウスについてはGcn1 floxマウスとTh-CreERマウスの交配で得られたマウスにタモキシフェンを投与し、ドーパミンニューロンでのGcn1欠失をジェノタイピングPCRおよび免疫組織化学で検出する予備実験を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
リボソームプロファイリングを行ったHAP1細胞において、不適当な培養条件により通常培養でアルギニン飢餓を示唆するデータが得られたため、培養条件を見直してリボソームプロファイリングの再解析を行った。ドーパミン作動性ニューロン特異的Gcn1 CKOマウスについては、脳内でのタモキシフェン誘導性Creの活性化がやや困難で、タモキシフェンおよびその活性代謝物である4-ヒドロキシタモキシフェンの投与方法を検討している。また、Gcn1欠失は脳組織中では少数であるドーパミンニューロンでのみ起こるため、これを検出するためのジェノタイピングPCRおよび免疫組織化学の予備実験を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
Gcn1欠失を欠失したHAP1およびMEFで共通して変動が見られた転写産物については、disomeが形成される配列も共通していたため、今後この配列を組み込んだデュアルレポータージーンアッセイを構築し、disome形成が見られた前後の配列がGcn1依存的に翻訳制御を受けているのか確認する。翻訳停滞はタンパク合成に影響するだけでなく、新生ペプチドの折りたたみや細胞内局在に必要な調節機構である可能性があり、現在並行して進めているプロテオーム解析と合わせて解析し、重要な転写産物についてはウェスタンブロットで発現量を解析する。 ドーパミン作動性ニューロン特異的Gcn1 CKOマウスの表現型解析については、前述の予備実験を行い、ドーパミンニューロンでのGcn1欠失をThおよびGcn1抗体の二重染色で確認できない場合は、Gcn1抗体の作製を検討するほか、in situハイブリダイゼーションなど代替法で評価する。ドーパミンニューロン特異的なGcn1欠失の確認後は主に運動機能に注目した行動解析を実施し、コントロールと差が見られなければ、MPTP投与によるパーキンソン病モデルを作製して行動解析を行う。運動機能に差が見られた場合はドーパミンニューロンの変性について解析する。
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