研究課題/領域番号 |
22K06897
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48040:医化学関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
千原 一泰 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (00314948)
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研究分担者 |
定 清直 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (10273765)
竹内 健司 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (40236419)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 3BP2 / C型レクチン受容体 / CARD9 / MALT1 / NF-kappa B / ユビキチン化 / チロシンリン酸化 / NF-κB / Syk / 免疫応答 |
研究開始時の研究の概要 |
体内に侵入した真菌をC型レクチン受容体が認識すると、真菌の排除に必要な免疫応答が開始される。しかし、そのメカニズムは未だ解明されていない。研究代表者らは、アダプタータンパク質3BP2が、C型レクチン受容体を介する免疫応答に必要不可欠な事を見出した。そこで本研究では3BP2の標的分子を同定し、3BP2がどのように免疫応答を調節するのか明らかにする。さらに新たに遺伝子改変マウスを作製し、3BP2と標的分子が真菌感染によって誘導される免疫応答をどのように調節するのか明らかにする。以上の解析により、真菌に対する免疫応答のメカニズムの一端が解明され、真菌感染症の病態理解や治療法開発への応用が期待される。
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研究実績の概要 |
最近我々は、C型レクチン受容体dectin-1を介するサイトカインの産生にアダプタータンパク質3BP2が重要な役割を果たすことを明らかにした。昨年度は、HEK-293T細胞を用いてレポーターアッセイを行い、グアニンヌクレオチド交換因子Vav2が3BP2によるシグナル伝達分子CARD9を介したNF-κBの活性化に重要な役割を果たすことを明らかにしている。CARD9はC型レクチン受容体を介した真菌免疫応答に必要不可欠なタンパク質であり、受容体からの刺激に応じてアダプタータンパク質BCL10およびプロテアーゼMALT1と複合体を形成し、NF-κBを活性化すると考えられている。そこで本年度は、BCL10、MALT1およびその下流で働くユビキチンリガーゼTRAF6を欠損するHEK-293T細胞を作製し、3BP2の機能を解析した。その結果、3BP2によるCARD9を介したNF-κBの活性化に、BCL10、MALT1、TRAF6が必要不可欠なことを見出した。また、3BP2はCARD9、BCL10、およびMALT1を介してTRAF6を活性化し、タンパク質のユビキチン化を促進することを見出した。さらに、3BP2機能欠損マウスから得られる骨髄由来樹状細胞を解析したところ、dectin-1が誘導するCARD9を介したMALT1の活性化に3BP2が必要であり、活性化したMALT1によってタンパク質分解を受けることを見出した。これらの知見は、3BP2がdectin-1によるCARD9を介した真菌免疫応答に重要な役割を果たすことを示唆している。また、CARD9は炎症性腸疾患の疾患感受性遺伝子として同定されているため、本研究により3BP2と疾患との関連が新たに示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定をほぼ達成し、Vav2を介するCARD9の機能調節に加え、3BP2がCARD9、BCL10、MALT1から構成される複合体の形成に重要な役割を果たすことを示唆する結果が得られた。以上の研究成果をまとめ、国際学術雑誌へ論文を投稿した。一方、3BP2によるC型レクチン受容体を介した免疫応答の調節について、個体レベルにおける解析は着手できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に従い、3BP2の下流でCARD9の機能を調節する標的分子の網羅的同定を進める。さらに、3BP2機能欠損マウスを使い、3BP2が真菌に対する免疫応答をどのように調節するのか、個体レベルにおける解析を進める予定である。
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