研究課題/領域番号 |
22K06903
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48040:医化学関連
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
太田 聡 自治医科大学, 医学部, 講師 (40528428)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | Ras / MerTK / STK38 / 細胞遊走 / がんの悪性化 / ARHGAP18 / がん |
研究開始時の研究の概要 |
Ras遺伝子変異は多くのがんの原因となる。しかし、既知のRasシグナルの阻害では発がんを完全に抑制できず、未知のRasシグナルの解明が待たれている。我々は新規RasシグナルRas/IL-33/MerTK経路が細胞遊走を亢進することを報告したが、その亢進の分子機構は不明である。我々はこれまでにMerTK結合因子としてSTK38とARHGAP18を同定している。そこで本研究ではSTK38とARHGAP18の細胞遊走、MerTK活性化、腫瘍形成に対する影響を解析し、Ras/IL-33/MerTK経路における役割を明らかにする。本研究は新規抗がん剤開発につながると期待される。
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研究実績の概要 |
Ras遺伝子の変異は多くのがんの原因となる。これまでに既知Rasシグナルを標的とする抗がん剤では、Rasシグナルを完全に抑えることはできておらず、未知のRasシグナルの同定が期待されている。申請者らはがん化型Ras変異体がIL-33依存的に受容体型チロシンキナーゼMerTKの発現を誘導して細胞遊走を亢進させることを報告した。また、質量分析計を用いてMerTK結合タンパク質としてSTK38とARHGAP18を同定した。本課題は、MerTK結合タンパク質に焦点をあて、Ras/IL-33/MerTK経路による細胞遊走亢進の分子機構を解明することを目的とし、本年度はセリン・トレオニンキナーゼであるSTK38のRasシグナルに対する影響を検討した。 MerTKとSTK38を発現させたHEK293細胞について免疫沈降実験を行い、免疫沈降産物についてイムノブロットを行った結果、MerTKとSTK38の細胞内相互作用が確認された。また、マウス線維芽細胞NIH-3T3を用いたボイデンチャンバー法による解析から、Rasによる細胞遊走亢進がSTK38の発現抑制により抑制されることが示された。さらに、STK38のMerTKのチロシンリン酸化に対する影響を検討するため、NIH-3T3細胞に発現させたFLAG-MerTKを細胞抽出液から免疫沈降して抗リン酸化抗体でイムノブロットしたところ、STK38の発現を抑制した細胞ではMerTKのチロシンリン酸化が抑制されることがわかった。このMerTKのチロシンリン酸化の抑制は野生型STK38の発現によりレスキューされたが、キナーゼ活性を欠損させたSTK38変異体の発現ではレスキューされなかった。以上のことからSTK38はMerTKのチロシンリン酸化を促進し、Ras/IL-33/MerTK経路が誘導する細胞遊走を促進すると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究により、計画通りSTK38のRas/IL-33/MerTK経路に対する影響を検討することができ、全体の計画はおおむね順調に進行していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の計画をもとに、STK38によるMerTK活性化と細胞遊走亢進の分子機構を明らかにして行く。セリン・トレオニンキナーゼであるSTK38が直接MerTKをリン酸化するか確認するため、in vitroキナーゼ解析法で検討する。また、STK38の細胞遊走亢進への作用を検討するため、MerTKまたはSTK38を発現抑制した細胞についてpull downアッセイを行い、発現細胞遊走制御因子であるRac1、Cdc42、RhoAの活性化状態を調べる。
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