研究課題/領域番号 |
22K06906
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49010:病態医化学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田口 恵子 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (20466527)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | Nrf2 / Keap1 / 遺伝子改変ラット / 肝臓 |
研究開始時の研究の概要 |
Keap1-Nrf2システムは、酸化ストレスや毒物により活性化して、抗酸化酵素や解毒代謝酵素をコードする遺伝子の発現を亢進する生体防御機構である。Keap1やNrf2の遺伝子変異によってNrf2の活性制御メカニズムが破綻したがん細胞は、過剰にNrf2が活性化して細胞増殖を促進することが報告されている。それ故に、Nrf2の異常な活性化が引き起こす生体反応を明らかにして、Nrf2の活性を緻密に制御する生体内のシステムの解明を目指す。
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研究実績の概要 |
Keap1-Nrf2システムは、酸化ストレスや毒物により活性化して、抗酸化酵素や解毒代謝酵素をコードする遺伝子の発現を亢進する生体防御機構である。Keap1やNrf2の遺伝子変異によってNrf2の活性制御メカニズムが破綻したがん細胞は、過剰にNrf2が活性化して細胞増殖を促進することが報告されている。それ故に、新たに遺伝子改変ラットを用いて、Nrf2の異常な活性化が引き起こす生体反応を明らかににすることを目的とした。 ・ Keap1欠失ラットにおけるNrf2活性化と肝臓の組織構築 野生型(K2)、Keap1ヘテロ欠失(K1)およびKeap1欠失(K0)ラットを作出した。K0ラットは生後0日齢で死亡し、肝臓の表現型が顕在化した。これには、肝臓の発生過程におけるNrf2の過剰な活性化が影響したと考えられた。そこで、Keap1欠失によるNrf2依存性を調べるため、さらに、Keap1::Nrf2ヘテロ欠失(K0N1)とKeap1::Nrf2二重欠失(K0N0)ラットを作出した。K0N1ラットでは生後致死が半数程度回避でき、K0N0ラットはK2ラットと同様に正常に生育した。0日齢の5つの遺伝子型ラットを用いて、血液生化学検査を行ったところ、K0ラットではビリルビンの上昇がみられ、黄疸の症状と一致した。また、ビリルビンの上昇やK0N1およびK0N0ラットでは軽減した。そこで、Nrf2の活性化と代表的なNrf2標的遺伝子の発現を調べ、Nrf2の活性化を検証した。K0ラットではNrf2の核蓄積がみられ、Nrf2標的遺伝子の発現も上昇したが、K0N1および K0N0ラットでは減少した。以上より、Keap1欠失によるNrf2の活性化が致死の原因であり、肝臓に黄疸の症状を呈した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子改変ラットの交配が順調に進んでおり、生体の解析ができている。
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今後の研究の推進方策 |
・ 肝特異的Keap1欠失ラットと全身性Keap1欠失ラットの相違性の検討 肝特異的Keap1欠失(Keap1flox/flox::Albumin-Cre)ラットを作出する。肝特異的Keap1欠失ラットが全身性Keap1欠失ラットと同様に生後致死となれば、肝臓におけるNrf2活性化が致死の原因であると同定できる。一方で、肝特異的Keap1欠失ラットでは致死を回避する場合には、肝臓以外の臓器におけるNrf2活性化がKeap1欠失ラットの致死の原因と考えられる。
・ Nrf2に依存した肝臓の組織構築に関わる因子の同定 Keap1欠失ラットにおける遺伝子の発現解析から、胆管形成に関わるNrf2標的遺伝子が同定された際には、その因子が真にNrf2標的遺伝子であるか否かを、Nrf2に特異的な結合配列(CsMBE)の同定やクロマチン免疫沈降(ChIP)によるNrf2の結合を通して調べる。転写因子としてのNrf2に注目し、標的となる遺伝子発現から本課題に取り組む。
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