研究課題/領域番号 |
22K06913
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49010:病態医化学関連
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
森口 尚 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (10447253)
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研究分担者 |
遠藤 智之 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (00400317)
関根 弘樹 東北大学, 加齢医学研究所, 講師 (50506285)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | GATA2 / インターロイキン6 / マスト細胞 / マクロファージ / 血管内皮細胞 / GATA転写因子 / サイトカイン / 炎症性疾患 / 感染症 |
研究開始時の研究の概要 |
炎症性サイトカインはさまざまな感染症および炎症性疾患の重症度を左右する。GATA転写因子は複数の細胞種で、サイトカイン遺伝子の発現を正に制御する。本研究ではGATA転写因子が急性肺障害、自己免疫性関節炎や内臓脂肪炎症に伴うメタボリックシンドロームの重症化もしくは予防に関わる可能性を、それぞれの遺伝子変異マウスを用いた疾患モデル誘導にて明らかにする。感染症や炎症疾患症例のサンプル用いGATA因子活性化レベルと炎症状態・臨床症状との相関を解析する。また低分子化合物によるGATA転写因子阻害を試み、炎症性疾患の治療につながるか検討する。
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研究実績の概要 |
マスト細胞株を用いtaたGATA2抗体によるChIPシーケンス解析により、GATA2のゲノムDNA上での結合部位を探索した。GATA2欠損マウスの骨髄由来マスト細胞を用いたRNAシーケンス解析により、GATA2により制御される標的遺伝子群の解析を行った。その結果、Ccl10やTnfなどさまざまな炎症関連遺伝子群がGATA2の制御下にあることがわかった。これら標的遺伝子群には、GATA2欠損腎尿細管細胞の解析で同定した遺伝子群も含まれていた。その中で、代表的な炎症性サイトカインであるIL6遺伝子の5'上流-39kbに位置する制御領域内に、GATA2結合ピークが複数存在し、それらは骨髄球系血液細胞鍵因子のPU.1の結合領域と近接していた。この結果はGATA2とPU.1が協調的に機能し、炎症関連遺伝子群の発現を制御することを示唆する。GATA2とPU.1の結合領域を含む-39kb領域をBRC6細胞にて欠損させると、炎症刺激によるIL6の発現誘導が顕著に抑制された。遺伝子編集で作成した-39kb領域ホモ欠損マウスでは、腹腔内マスト細胞においてIL6の発現誘導が抑制された。一方、マクロファージではIL6の発現誘導は保たれていた。マウス個体にLPS投与した後の血清IL6誘導レベルをELISAで調べたところ、-39kb領域ホモ欠損マウスでは野生型コントロールと比較して若干の低下が観察された。この結果は、マスト細胞でのIL6産生低下が、血清IL6誘導レベルの低下をもたらした可能性を示唆する。一方で、動物個体内ではマスト細胞以外のさまざまな細胞もIL6を産生しているため、-39kb領域がマスト細胞以外のIL6産生細胞でも機能している可能性もある。特に血管内皮細胞は細胞数も多く、さまざまなサイトカインを産生しているため、現在われわれは血管内皮でのGATA2の機能解析も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトの炎症性疾患との関連が深いIL6遺伝子について、GATA2依存性エンハンサー領域の機能を明らかにした。マウスの-39kb領域とヒトIL6遺伝子の相同領域は、ヒトにおける炎症傾向と相関のある一塩基多型が散在する領域であることが報告されている。-39kb領域欠損マウスの解析から、血清IL6レベルとの関連も明らかになりつつあり、これらの解析がヒトの炎症性疾患の分子基盤解明につながる可能性もある。
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今後の研究の推進方策 |
IL-6 -39kb上流に存在する発現制御領域に着目し、培養細胞と遺伝子改変マウスを用いた解析を進める。皮膚における細菌感染防御では、マスト細胞が産生するIL-6が重要であることを示す報告が存在し、皮膚感染モデルを使った解析を開始している。-39kb制御領域の多型が感染症や炎症性疾患と関連する可能性について、東北メディカルメガバンクのゲノムデータベースを活用しながら取り組んでいく。また、血管内皮細胞からのサイトカイン産生制御因子としてGATA2が果たす役割の解明にも取り組む。炎症性サイトカイン産生細胞としての血管内皮細胞の機能的重要性を評価する疾患モデルとして、慢性低酸素暴露による肺動脈性高血圧症の誘導を行っている。予備的な実験では、GATA2が肺動脈の恒常性維持に必須であり、肺動脈高血圧の発症予防に重要であるとする結果を得ている。今後この解析をさらに進め、GATA2の異常が血管病につながるメカニズムの探索を進める。
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