研究課題/領域番号 |
22K06928
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49010:病態医化学関連
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
梅村 将就 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (50595353)
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研究分担者 |
永迫 茜 横浜市立大学, 医学部, 助手 (70902675)
中鍛治 里奈 横浜市立大学, 医学部, 助教 (80845511)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 心臓線維芽細胞 / ドキソルビシン / Orai1 / 心毒性 / p53 / p21 / 心臓線維化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では心臓線維芽細胞において、ドキソルビシン(DOX)が持つ心毒性のCa2+を介した新たな機序を解明し、DOXを起因とする心不全の診断・治療に役立てることを目的とする。とりわけ細胞外から細胞内へのCa2+流入を調節するストア作動性Ca2+(SOCE)との関連を検証する。DOXは不可逆的な心機能障害を起こすリスクが問題視されている。過去に様々な研究が報告されてきたが、これらの多くは心筋細胞への影響に関する研究であり、心臓線維芽細胞の関与や機序については解明されていないことが多い。DOXの心毒性の原因として、Ca2+シグナルと関連が報告されているが、SOCEとの関係についての報告は皆無である。
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研究実績の概要 |
我々は先行研究により、ドキソルビシン(DOX)が持つ心毒性により引き起こされる心臓機能障害に、カルシウム(Ca2+)シグナル、とりわけストア作動性Ca2+流入機構 (Store-operated calcium entry:SOCE)が介している可能性を見出した。そのため、本研究では心臓線維芽細胞において、ドキソルビシンが持つ心毒性のCa2+を介した新たな機序を解明し、ドキソルビシンを起因とする心不全の診断・治療に役立てることを目的とする。アントラサイクリン系抗癌剤の1つであるドキソルビシンは、現在の化学療法レジメンにおいて非常に重要であるが、不可逆的な心機能障害を起こすリスクが問題視されている。ドキソルビシンによる心不全は、一度発症するとその予後は非常に不良であるにも関わらず、未だ治療法が確立していない。過去に様々な研究が報告されてきたが、これらの多くは心筋細胞への影響に関する研究であり、心臓線維芽細胞の関与や機序については未だ解明されていないことが多い。心臓線維芽細胞は、心筋細胞と同様に心臓組織を構成する細胞の1つであり、細胞外マトリックスの維持、および成長因子やサイトカインの合成に関して重要な役割を担う。申請者らは早くから、ドキソルビシンが持つ心毒性に着目し、その機序について研究してきた。我々の検討により、心臓線維芽細胞においてドキソルビシンの刺激により増加したp53やp21の蛋白発現がSOCE阻害薬であるYM-58483により、有意に減弱することが分かった。また、SOCEに大きく関わるCa2+チャネルの1つであるOrai1をノックダウンすることでも同様の結果が得られた。このことにより心臓線維芽細胞においてOrai1がドキソルビシンの心毒性に大きく関わっていることを発見した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請者らは早くから、ドキソルビシンが持つ心毒性に着目し、その機序について研究してきた。とりわけ、その心毒性にはセカンドメッセンジャーである細胞内Ca2+が関与しているのではないかと考えてきた。本研究課題の研究により、その主要なメカニズムにストア作動性カルシウム流入において大きな役割を担うCa2+チャネルの1つであるOrai1が関与していることを同定出来た。
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今後の研究の推進方策 |
心臓線維芽細胞は心臓組織において多くを占めていると思われる。申請者らは早くからこの心臓線維芽細胞の重要性に注目しており、過去に静水圧や温熱などの物理的刺激が心臓線維芽細胞に及ぼす影響について研究したところ、心臓線維芽細胞は外部からの刺激に対してダイナミックな生理学的反応を示すことが分かった(Narikawa, Umemura, et al. Sci Rep.2018) (Tanaka, Umemura, et al. Physiol Rep. 2018)。そのため、ドキソルビシンによる心臓機能障害に関しても、心筋細胞だけでなく、心臓線維芽細胞も多大な影響を受け病態変化を起こしているのではないかと考えている。昨年は心臓線維芽細胞におけるドキソルビシンの心毒性のメカニズムに、ストア作動性カルシウム流入において大きな役割を担うCa2+チャネルの1つであるOrai1が関与していることを同定した。 今後は、心臓線維芽細胞において、ドキソルビシンが示す心毒性のメカニズムについてさらなる検討を進める。とりわけ、Ca2+負荷の観点から、細胞内Ca2+流入が起こった後からアポトーシスまでの過程を分子生物学的手法による解析を継続する。さらに、ドキソルビシン負荷による心不全モデルを作成し、動物実験でその仮説の立証を継続する。
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