研究課題/領域番号 |
22K06938
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
前田 大地 金沢大学, 医学系, 教授 (30585500)
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研究分担者 |
後藤 明輝 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (90317090)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 卵管上皮 |
研究開始時の研究の概要 |
正常卵管に存在する免疫組織化学的に局在の同定が可能な変異細胞集塊(signature病変)を探索し、その臨床病理学的意義を明らかにする。卵管signature病変を有する患者の中で、婦人科癌を併発した症例に着目し、signature病変と癌の遺伝子異常を比較検討することで、悪性化に寄与する因子の絞り込みを行う。
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研究実績の概要 |
近年のゲノム研究によって、癌のみならず背景の正常上皮に腫瘍原性遺伝子変異が生じていることが明らかになってきた。特に正常卵管においてはp53 signatureやβ-catenin signatureといった免疫組織化学的に局在の同定が可能な変異細胞集塊(signature病変)の存在が知られている。これらsignature病変に関しては、卵巣・卵管および子宮の高異型度漿液性癌や類内膜腺癌との関連が示唆されているが、前癌病変としての意義は十分に解明されていない。今回、我々は、正常卵管上皮、p53 signature、β-catenin signature、serous tubal intraepithelial carcinoma、浸潤性のhigh-grade serous carcinomaを対象として、空間的トランスクリプトーム解析を実施した。その結果、正常卵管上皮からserous tubal intraepithelial carcinomaへの転換にあたって生じる遺伝子発現の変化に一定のパターンがあることを見出した。同時に、serous intraepithelial carcinomaの中にも浸潤性のhigh-grade serous carcinomaと同様の発現パターンを示す群が存在することが明らかとなった。すなわち、serous intraepithelial carcinomaには浸潤能の低い、low-gradeなものと、浸潤癌と同等の性質を既に有するhigh-gradeのものが存在することが示唆される。それぞれを特徴づける発現亢進遺伝子群と発現低下遺伝子群を絞り込んだので、biological significanceに関して今後、検討を加える。なお、signature病変に関しては、既存の卵管上皮との間に遺伝子発現に大きな違いが見出せなかった。空間的トランスクリプトーム解析の解像度の問題が背景にあるので、さらに高解像度のアッセイ系でデータ取得を試みる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Serous tubal intraepithelial carcinomaの層別化につながる新知見が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
Signature病変の遺伝子発現プロファイルに関して高解像度の空間的解析を加えて、変異に伴って発現が変化する遺伝子群の同定に努める。発がんの初期イベントの描出、および、悪性化を定義する遺伝子発現パターンの同定を目指す。
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