研究課題/領域番号 |
22K06942
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 九州大学 (2023) 佐賀大学 (2022) |
研究代表者 |
相島 慎一 九州大学, 医学研究院, 教授 (70346774)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 肝内胆管癌 / 免疫微小環境 / リンパ球 / 好中球 / サイトカイン / サブタイプ |
研究開始時の研究の概要 |
肝内胆管癌の罹患率は全世界的に上昇傾向を示しており、国内の罹患率および死亡率は明らかに増加している。肝内胆管癌は肝臓内に発生する胆道癌であり、組織学的多様性に富む癌腫である。個々の症例での相違のみならず、一つの腫瘍内においても不均一性を示すことから、詳細な病理学的特徴に基づいた治療方針決定が望まれる。肝内胆管癌は大型胆管から発生するLarge duct typeと小型胆管レベルから発生しするSmall duct typeに区分することが可能である。多様性を示す肝内胆管癌には個別化治療が重要であり、癌細胞の分子遺伝学的な異常ならびに腫瘍内免疫微小環境を包括的に解析することを目的とする。
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研究実績の概要 |
近年の分子遺伝学的あるいは網羅的なトランスクリプトームにより、解析肝内胆管癌には、炎症性シグナルの活性化を中心とする「炎症型」と増殖シグナル経路が活性化した「増殖型」の、2種類の分子・遺伝子異常が指摘されている。炎症型ではIL-6, IL-10などTh2サイトカインの亢進、COX2やJAK/STAT3経路の活性化を認め、増殖型ではMAPK、c-Met経路の活性化、VEGF発現亢進を認めている。肝内胆管癌における腫瘍免疫について、腫瘍内血管(MVD)とTリンパ球およびPD-L1発現の関連や悪性度に関して報告されているが、腫瘍内のそれぞれの免疫細胞の分 布や腫瘍の特徴との関連については不明である。 昨年に引き続き本年度は、肝内胆管癌切除症例のHE標本を観察し、臨床学的データをまとめた。昨年検討していた2013年までの対象症例約100例に加えて、2023年までの症例150例を追加して、腫瘍細胞の組織学的な悪性度(分化度、血管侵襲、リンパ管侵襲、神経侵襲、リンパ節転移)、個々の間質細胞(リンパ球、形質細胞、好中球)の分布について、浸潤部における腫瘍内の中心部ならびに辺縁部について病理学的に検討を行った。 肝内胆管癌免疫担当細胞の分布の検討結果として、好中球のびまん性浸潤を示す好中球優位型がリンパ球優位型より多く、浸潤傾向が高い症例、腫瘍径が大きい症例、壊死が目立つ症例で高頻度に認めた。 腫瘍内に浸潤する炎症細胞の種類について、マクロファージにおけるSIRPαとCD47の関連、CCDC25とKallikrein-11の免疫組織学的検討を重ねてと自然免疫、獲得免疫系の違いに焦点を当て検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年7月に研究施設を異動したことに伴い、研究環境・設備のセットアップに時間を要した。切除標本のパラフィンブロックから再度HE標本を作製し病理学的特徴を観察している。古いパラフィンブロックでのDNAの質の検討および凍結サンプルの有無について調査している。免疫染色の条件設定を行っているところである。
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今後の研究の推進方策 |
対象症例について、癌組織中に含まれる炎症細胞の同定とサイトカイン量の測定、癌組織中の免疫細胞の遺伝子発現レベルと組織切片のタンパク発現の比較と免疫微小環境との比較、上記の検討結果と臨床病理学的因子との比較について行っていく予定である。
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