研究課題/領域番号 |
22K06949
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
|
研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 鮎子 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (20419823)
|
研究分担者 |
辻村 亨 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20227408)
結城 美智子 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (60467587)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 悪性中皮腫 |
研究開始時の研究の概要 |
悪性中皮腫はアスベスト曝露に起因する難治性腫瘍である。早期症例に対しては集学的治療が行われるが、従来の標準化学療法に優る薬物療法は見出されていない。上皮型中皮腫を中心とする早期症例では、胸膜に明らかな病変が認められない段階から、胸水中に中皮腫細胞が出現することが多く、中皮細胞が有するアノイキス抵抗性が腫瘍化に伴って増強し、胸水貯留での発症や、胸水を介した胸腔内播種による発育進展などの病態の形成に寄与している可能性がある。本研究では、中皮腫細胞に高アノイキス抵抗性を賦与する分子機構を解明し、その特性の制御によって悪性中皮腫に対する新たな治療法の確立を目指す。
|
研究実績の概要 |
悪性中皮腫はアスベスト曝露に起因する難治性腫瘍である。上皮型を中心とする悪性胸膜中皮腫の早期症例では、胸膜に明らかな病変が認められない段階から胸水中に中皮腫細胞が出現することが多く、中皮細胞が有するアノイキス抵抗性が腫瘍化に伴って増強し、胸水貯留での発症や、胸水を介した胸腔内播種による発育進展などの病態の形成に寄与している可能性がある。我々が樹立した高いアノイキス抵抗性を示す中皮腫細胞株MM56を用いて、接着培養と浮遊培養における遺伝子発現プロファイルを比較した結果、浮遊培養によって発現が亢進する遺伝子として、悪性中皮腫での発現が報告されている分子Aを見出した。MM56における分子Aの発現抑制によって、細胞増殖能およびスフェロイド形成能が抑制されるなど、アノイキス抵抗性の付与を示唆するデータが得られているため、本年度は、これらの再現性を確認するとともに、分子Aに対する抗体が細胞増殖に与える影響を調べた。当該抗体を加えてMM56を培養すると、アイソタイプコントロールと比較して増殖抑制効果が認められた。また、他の細胞株(正常中皮細胞7株、中皮腫細胞株8株および我々が樹立した中皮腫細胞株6株)における分子Aの発現量を調べ、比較的高い発現が認められた中皮腫細胞株においてもMM56と同様の効果が認められるか検討を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中皮腫細胞にアノイキス抵抗性を賦与する候補分子として同定した分子Aについて機能解析を進めている。中皮腫細胞株MM56においては、分子Aの発現抑制の他に、本分子に対する抗体がin vitroで細胞増殖抑制効果を示したことから、他の細胞株においても同様の効果が認められるか検討を行っている。当初の研究計画に沿って、概ね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた成果をもとに、悪性中皮腫細胞のアノイキス抵抗性に寄与する分子の機能解析を進める。また、接着培養、浮遊培養および長期浮遊培養における遺伝子発現プロファイルの比較データから、浮遊培養によって発現が亢進または低下する遺伝子を新たに同定し、アノイキス抵抗性をはじめとする中皮腫細胞の特性の分子機構を解析し、その特性の制御によって悪性中皮腫に対する抗腫瘍効果が得られるか検討する。
|