研究課題/領域番号 |
22K06952
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都立病院機構東京都立駒込病院(臨床研究室) |
研究代表者 |
元井 亨 地方独立行政法人東京都立病院機構東京都立駒込病院(臨床研究室), 病理科, 医長 (50291315)
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研究分担者 |
櫻井 奈津子 地方独立行政法人東京都立病院機構東京都立駒込病院(臨床研究室), 病理科, 医員 (30938395)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 骨軟部肉腫 / STAG2 / コヒーシン / 染色体不安定性 / 染色体不安定性性 / 融合遺伝子 |
研究開始時の研究の概要 |
成人骨軟部肉腫は代表的な希少がんであり、組織型の多さと個々の各腫瘍型の稀さにより病理診断に難渋する。がん遺伝子パネル検査でも癌腫に比して肉腫は治療選択に結び付きにくく、新たな診断・治療へのアプローチが求められている。本研究では染色体不安定性に関与するコヒーシン複合体構成分子STAG2の解析を行う。多くの骨軟部腫瘍検体でSTAG2の遺伝子異常の頻度や意義、予後への関与を腫瘍横断的に解析し、診断マーカーとしての有用性や治療標的としての可能性を探る。
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研究実績の概要 |
【背景と目的】成人骨軟部肉腫の診断・治療法の開発はその希少性により進んでいない。本研究では新たなアプローチとして染色体不安定性に着目し、特に染色体の分配を制御するコヒーシン複合体の構成分子STAG2異常について解析を進めている。STAG2の機能喪失性遺伝子変異はEwing肉腫の約20%と高頻度であることが報告されているが、その他の成人軟部肉腫でのSTAG2異常の頻度や変異状態については明らかにされていないため、腫瘍型横断的解析を企図した。STAG2機能喪失性変異は抗STAG2抗体を用いた免疫染色により発現消失として間接的に検出可能である。前年度にEwing肉腫13例を含む骨軟部腫瘍15組織型、112腫瘍を検索し、Ewing肉腫2例、骨外性骨肉腫1例、粘液線維肉腫1例の4例でSTAG2タンパクの発現消失を確認した。 【方法】 本年度は①遺伝子パネルを用いたSTAG2遺伝子変異解析:STAG2発現消失4例のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)材料よりDNAを抽出し、駒込ミエロイドパネルを用いた解析を施行した。②脱分化型脂肪肉腫のSTAG2変異スクリーニング:染色体不安定性が高いとされる脱分化型脂肪肉腫32例を含む脂肪性腫瘍80例のSTAG2染色を施行した。 【結果】①Ewing肉腫1例で機能喪失性変異c.1360C>Tが検出された。残る3例ではリード数が少なくシーケンスデータ解析不能であった。②STAG2の発現消失は全例で陰性であった。 【考察】①STAG2染色の発現消失がSTAG2機能喪失性変異を反映することが確認された。解析不能例ではFFPEからのDNAの収量が問題と考えられ、今後新鮮凍結材料を用いて解析を試みる。②脱分化型脂肪肉腫の染色体不安定性はSTAG2に起因していないと考えらる。Ewing肉腫におけるSTAG2機能喪失変異の特殊性が浮き彫りになってきたと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
STAG2免疫染色により発現消失が見られた腫瘍4例に対する当院オリジナルのミエロイドパネルを用いたSTAG2の遺伝子変異解析が4例中3例で解析不能であったため。解析にはホルマリン固定パラフィン包埋材料より抽出したDNAを用いたが、現在凍結材料により高品質なDNAを抽出し、解析に供することを検討している。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに約200例の骨軟部腫瘍の解析を施行し,Ewing肉腫におけるSTAG2機能喪失変異の特異性が明らかになってきた。STAG2機能喪失性変異は染色体不安定性を惹起すると考えられる。我々は染色体不安定性の結果生じる微小核形成をcGAS染色により定量的、効率的に捉える手法を開発している。この手法を用いてSTAG2染色陰性例の微小核の存在状態を対照例と比較しながら解析し、STAG2発現消失と染色体不安定性の関係性を可視化し、さらに腫瘍の臨床予後との関係性を検討していく。
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