研究課題/領域番号 |
22K06967
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
高橋 博之 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (60377330)
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研究分担者 |
三枝 信 北里大学, 医学部, 教授 (00265711)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 進行大腸癌 / S100A4 / 簇出 / 直腸癌 / 癌幹細胞ニッチ |
研究開始時の研究の概要 |
進行期直腸癌の治療法に術前化学放射線療法(NCRT)+外科療法があるが、その施行例の約55%はNCRT抵抗性を示す。申請者の研究グループは、婦人科癌でβ-カテニン誘導100A4が、(EMT)/癌幹細胞化を誘導することを報告した。S100A4が進行期直腸癌のNCRT抵抗能獲得機構でも重要なことを解明するため、「S100A4がNMⅡ/p53シグナル系制御により直腸癌細胞のEMT/癌幹細胞化を誘導する。同時に、この癌幹細胞の周囲に集積したS100A4陽性間質細胞が癌・間質相互作用を介して癌幹細胞ニッチを形成する。これらの複合作用により直腸癌細胞はNCRT抵抗能を獲得する」という作業仮説を実証する。
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研究実績の概要 |
NCRT非施行例の進行大腸癌におけるS100A4発現の意義を検証した。2009年12月から2021年12月までに当院で大腸癌と診断され外科的切除された150症例の大腸癌検体を対象に、S100A4の免疫染色を行い、染色強度と陽性率を評価した。観察期間 (範囲)の中央値1881.5日 (49-4583日)であった。S100A4の免疫染色の染色強度と陽性率のスコアの積を染色スコアとし、S100A4スコア2以上を高発現とした。S100A4発現と臨床病理学的因子の関係性の統計学的検討を行ったところ、S100A4高発現は、統計学的有意に深達度が深く、リンパ管侵襲、静脈侵襲、簇出が多く見られた。予後解析では、S100A4高発現は全生存期間で有意に予後不良となった。単変量解析では、深達度、リンパ節転移、遠隔転移、病理学的ステージ、簇出、S100A4発現が予後不良因子であったが、多変量解析ではS100A4は独立した予後不良因子とはならなかった。腫瘍の領域を、簇出部、簇出直上腺管、腫瘍中心部に分けてS100A4、β-カテニン、Ki-67の発現を比較したところ、簇出部においてS100A4とβ-カテニンが高発現、Ki-67低発現の傾向があった。以上のように、大腸癌におけるS100A4の発現は、予後不良の臨床病理学的子と密接に関与し、大腸癌の進展に関与することが示唆された。S100A4スコアはBD部で有意に高く、核β-cateninと正の相関関係を示した。一方、増殖能とは、負の相関を示した。S100A4は、進行期大腸癌の予後不良因子で、β-cateninと協調して、EMT誘導を介して簇出部形成に寄与すると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
免疫染色の染色性が安定しており、均一な判定基準を用いた評価が可能であった。
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今後の研究の推進方策 |
S100A4とβ-カテニンによる進行期直腸癌のNCRT抵抗能獲得機構を解明する。これまでのデータを集約して、S100A4依存性癌幹細胞ニッチ形成の観点からNCRT抵抗能獲得機構を解明する。
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