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膵癌の局所空間における分子遺伝学的不均一性とその病理形態学的意義の探索

研究課題

研究課題/領域番号 22K06968
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分49020:人体病理学関連
研究機関杏林大学

研究代表者

林 玲匡  杏林大学, 医学部, 准教授 (40735396)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
キーワード膵癌 / 腫瘍内不均一性 / 空間的遺伝子発現解析
研究開始時の研究の概要

膵臓がんは、診断技術や治療法の発達した現在でも難治性のがんとして知られており、新たな治療の標的、方法を見出す意味でも、腫瘍の発生、進展メカニズムを解明していくことが期待される。近年の研究から、がんは様々な性質を有する細胞の不均一な集団であることが示されつつある。本研究では、形態学的(顕微鏡で観察されるがん細胞の形)に不均一な局所のがん細胞の遺伝子発現プロファイルを、空間的遺伝子発現解析(局所のがん細胞集団ごとの遺伝子発現を解析する新技術)を用いて同定する。そして、局所空間における形態変化、形質転換に重要な遺伝子群を同定し、その臨床病理学的背景を探求する。

研究実績の概要

診断、治療技術の発展した今日においても膵癌は悪性腫瘍全体の中で有意に予後不良である。本研究は、この難治性癌の代表である膵癌に対して、近年注目されている空間的遺伝子発現解析を用いて局所の進展過程の背景にある分子遺伝学的変化を解明しようというものである。特に病理診断技術を活かし、形態学的に変化のある空間を解析対象としている。本研究は、理化学研究所がんゲノム研究チーム(中川研究室)と共同で行っており、緊密な連携のもと解析を進めている。
本年度は、昨年度FFPE対応のVisiumプラットフォーム(10X Genomics社)を用いて行った空間的遺伝子発現解析の発現データをもとに、膵癌の退形成変化に注目した解析を行った。管状腺癌、退形成癌の双方を含む局所空間では、形態像と概ね一致する遺伝子発現のパターンが得られた。擬時間を用いた軌道推定解析では、退形成変化における脱分化の過程が推定され、発現変動遺伝子を用いた転写因子予測からは転写因子Xが退形成変化の鍵となる遺伝子として推定された。免疫組織化学染色でも管状腺癌と退形成癌で転写因子Xのタンパク発現が異なることが確認された。現在はエピゲノムの変化などに注目しながら、転写因子Xの発現制御メカニズムの解明を行っている。なお、病理診断学的に形態学的変化の目立たない領域でも遺伝子発現パターンの変化が見られる部分もあったが、形態学的変化のある領域の方が変化はよりダイナミックであり、多数の発現変動遺伝子が確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

計画当初は4年間の計画であったが、「局所空間における形態変化、形質転換に重要な遺伝子群を同定し、その臨床病理学的背景を探求する」という当初の目標事項に関して、主要な解析は完了した。現在は論文投稿へ向け、形質転換に重要な遺伝子の発現制御を検討しているが、本年度中にはデータ整理を完了し論文投稿が可能であると考えている。

今後の研究の推進方策

研究実績の概要に記載のごとく、膵癌退形成変化の鍵となる転写因子Xが同定され、今後は転写因子Xの発現制御メカニズムについて、エピゲノムの変化などに注目しながら解析を進める。本研究の当初の目標は概ね達成していると考えれ、科学誌への投稿に向けた英語論文の準備も進めている。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Application of high-throughput single-nucleus DNA sequencing in pancreatic cancer2023

    • 著者名/発表者名
      Zhang Haochen、Karnoub Elias-Ramzey、Umeda Shigeaki、Chalign? Ronan、Masilionis Ignas、McIntyre Caitlin A.、Sashittal Palash、Hayashi Akimasa、Zucker Amanda、Mullen Katelyn、Hong Jungeui、Makohon-Moore Alvin、Iacobuzio-Donahue Christine A.
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 14 号: 1 ページ: 749-749

    • DOI

      10.1038/s41467-023-36344-z

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 空間的遺伝子発現解析を用いた膵癌退形成変化の分子生物学的探索2024

    • 著者名/発表者名
      林玲匡, 笹川翔太, 柴山隆宏, 田邉一成, 阪本良弘, 中川英刀, 柴原純二
    • 学会等名
      第113回 日本病理学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 膵癌における腫瘍内の形態学的・分子遺伝学的不均一性2023

    • 著者名/発表者名
      林玲匡
    • 学会等名
      日本病理学会カンファレンス
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 膵管癌における DNA メチル化の腫瘍内不均一性と遍在性2022

    • 著者名/発表者名
      林玲匡
    • 学会等名
      第111回日本病理学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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