研究課題/領域番号 |
22K06981
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
北澤 理子 愛媛大学, 医学部附属病院, 特命教授 (00273780)
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研究分担者 |
原口 竜摩 愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (00423690)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 老化 / 酸化的ストレス / メチル化 / 骨芽細胞 / エピジェネティクス / DNAメチル化 / エストロゲン |
研究開始時の研究の概要 |
閉経関連骨減少は女性の骨粗鬆症の主因であるが、男女を問わず問題となる「老人性骨粗鬆症」の病態は不明な点が多く、その解明は、今後の超高齢化社会の重要課題の一つである。破骨細胞分化因子RANKL発現の「CpGメチル化の意義を加齢個体レベルで検討するために、そのメチル化部位にpromoter 1塩基変異を導入し樹立したRANKL可視化GFPマウスを用いて、RANKL発現と破骨細胞活性、および骨量の変化を解析する。メチル化シトシン結合蛋白MeCP2の阻害・欠損、時間負荷と生活習慣病による代謝毒の作用を比較検討し、病的な老化による急激な骨減少を予防して、穏やかな老化に寄与する分子機構の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
閉経関連骨減少は女性の骨粗鬆症の主因であるが、高齢者に性別を問わず生じる「老人性骨粗鬆症」は、未だ不明な点が多い。低・高継代数マウス破骨細胞前駆細胞株RAW264.7と骨髄間質細胞株ST2の、包括的なDNAメチル化解析を実施した。破骨細胞分化因子受容体RANK 遺伝子メチル化状態は低継代と高継代RAW264.7細胞で安定していた。そのCpG islandは、RAW264.7 細胞では低メチル化、ST2 細胞ではメチル化蓄積を呈し、包括的解析ではメチル化による細胞種特異的発現調節が示唆された。 RAW細胞の長期継代ではRANK遺伝子メチル化によりその発現が低下し、sRANKLによる破骨細胞形成、分化形質TRACP、CTSKの発現が低下した。エピゲノム解析ではNFATc1, MITF, AP-1, PU.1など破骨細胞関連転写因子のメチル化には変化がなかった。脱メチル化剤5-azacitidine処理にて、高継代数のRAW細胞のRANK発現、破骨細胞形成の回復を認めた。長期間継代という時間的負荷が、CpGメチル化によるRANK発現低下、破骨細胞減少に関与する可能性が示唆され、加齢に伴うDNAメチル化(type A)の蓄積が、低回転型骨粗鬆症に関与する可能性が示唆された。 破骨細胞分化因子(RANKL)遺伝子転写調節領域のTATA-boxの直近のCGは、「メチル化シトシン結合蛋白(MeCP2)の高親和性結合」として、RANKL転写を抑制する機能部位である。この部位特異的なメチル化の有無をin situで組織標本上で可視化検出する手法により、長期培養骨細胞において、pin pointのメチル化とMeCP2発現によるRANKL発現調節を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルスの影響もほとんど無く、国内外の学術集会で学会発表を行い、情報収集を行う機会が得られた。研究計画の中で、塩基配列の特定の部位のメチル化を組織標本上で可視化する方法を適用して、骨芽細胞、破骨細胞の培養系での検討を行うとともに、遺伝子改変動物の骨組織での予検討を進めている。研究計画としては、順調に進行し、論文作成を行っている。研究経費としては、前年度までに購入した試薬物品の活用や他の経費での支出で、まかなうことが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
RANKの遺伝子発現制御に関して、引き続き、培養細胞レベルの検討から加齢個体マウスでの検討を行う。RAW細胞やST2細胞から抽出したDNAを用いた包括的メチル化解析の結果に基づき、継代数異存的にDNAメチル化の変化する遺伝子群と、破骨細胞形成関連遺伝子との関連について検討する。 RANKL発現についての培養細胞レベルの検討は、「骨細胞におけるRANKL遺伝子のpin-point制御の機能」について、骨細胞株への長時間培養において、MecP2発現と遺伝子プロモータのメチル化による調節を解析する。既にDNAメチル化が存在する細胞においてMeCP2の発現消失がメチル化による抑制機構を解除して、遺伝子の再活性化を来すという作業仮説に基づき、検討する。 研究成果をとりまとめ、日本病理学会総会、米国骨代謝学会ASBMRにて報告する予定である。
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