研究課題/領域番号 |
22K06989
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
廣瀬 善信 大阪医科薬科大学, 医学部, 教授 (20293574)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 進行大腸癌 / 代謝酵素 / 脈管侵襲 / 簇出 / 代謝 / 転移 / グルタミナーゼ / 乳酸脱水素酵素 |
研究開始時の研究の概要 |
進行大腸癌の発育先進部では、転移に関連が深いといわれる上皮間葉転換あるいは簇出という変化がみられ、同時にエネルギー代謝系酵素であるグルタミナーゼ(GLS1)高発現および乳酸脱水素酵素(LDHA)低発現が生じている。本研究では、転移中および転移後にGLS1↑/LDHA↓を示すかどうか、ならびにGLS1↑/LDHA↓は高転移性か、という二点を検証することで、転移におけるその変化の関連性、機能的意義を明らかにしたい。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、進行大腸癌の簇出(TB)を含む発育先進部で、代謝酵素であるglumaminase(GLS1)高発現およびlactate dehydrogenase A (LDHA)低発現という変化が特異的に生じている意義を明らかにすることである。昨年度にこれら代謝酵素蛋白(GLS1、LDHA)およびリンパ管マーカー(D2-40)の免疫組織化学、ならびに静脈同定のためのビクトリア青染色を同一切片上で行う多重染色法が確立できたため、進行大腸癌症例においてこの多重染色を実施した。得られた染色標本において、①低分化胞巣(PDC)における染色性、②転移途上(=脈管侵襲)および転移先(リンパ節)における染色性、の二点について病理学的な半定量的解析を実施した。その結果、得られた知見は以下である。 ①進行大腸癌症例における多重染色標本において、先行研究で示されたTBを含む先進部におけるGLS1高発現およびLDHA低発現の特異的パターンが確認できた。同時に、PDCにおいても、TBを含む腫瘍先進部と同様の染色パターンが観察された。 ②進行大腸癌症例の転移途上である脈管侵襲、および転移先であるリンパ節におけるGLS1およびLDHA発現を検索したところ、脈管侵襲におけるGLS1およびLDHAの発現は、腫瘍先進部、TB、PDCに比べて低下する傾向を示した。また、リンパ節転移におけるGLS1およびLDHAの発現は、原発巣の中心部と同様の染色性を示した。 以上より、代謝酵素であるGLS1およびLDHAの発現パターンは、大腸癌の原発巣中心部と転移先では類似していたが、TB/PDCを含む先進部および転移途上においては特異なパターンを示した。とくに、転移途上のそれら代謝酵素発現はいずれも低下しており、腫瘍先進部とは異なっていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
代謝酵素と脈管侵襲を同一切片上で評価する多重染色手技が昨年度に確立できたため、順調に進んでいる状況である。現状では、予定していた検索項目の評価の多くを終えており、その一部を関連学会で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、転移途上におけるGLS1およびLDHAの発現低下の原因を探ることを目的として、それら代謝酵素の発現制御に関連する因子を検討したい。具体的な候補因子としては、HIF-1など転写因子、カドヘリン、SNAIL等のEMT 関連因子、CD44等の幹細胞関連因子が考えられる。これら免疫組織化学のデータをもとに、代謝表現型と転移の関連性についてまとめ、関連学会での発表、および論文投稿を目指す。また、当初予定していた転移途上を検索ターゲットとした細胞培養実験であるが、あまり踏み込んだ検索はしない予定とする。その理由としては、これまでに出つつある結果は当初の仮説(腫瘍先進部と転移途上の代謝は類似する)とは異なるためである。
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