研究課題/領域番号 |
22K06990
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
古田 拓也 久留米大学, 医学部, 助教 (20646690)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 脳腫瘍 / 悪性腫瘍 / 腫瘍微小環境 / バイオマーカー / 膠芽腫 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、日常臨床で簡便・迅速に測定できる血液バイオマーカーLRG1の抗腫瘍作用を臨床病理学的解析および細胞実験で明らかにすることを目的とする。すでにRNA-seqで得られているLRG1発現と関連する遺伝子産物の臨床病理学的解析と膠芽腫細胞に対する内因性・外因性LRG1の効果が幹細胞性、免疫逃避を抑制することを証明する。本研究の成果は腫瘍微小環境への理解を深め、血中LRG1測定による診断および予後予測、さらには新規治療法の開発に寄与する。
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研究実績の概要 |
申請者らが着目する炎症マーカーLRG1は最も悪性度の高い原発性脳腫瘍である膠芽腫において様々な発現を示した。LRG1発現の高低に関連する遺伝子発現を次世代シークエンス(RNA-seq)で網羅的に解析したところ、LRG1高発現の腫瘍では血管新生、低発現の腫瘍では幹細胞性に関わる遺伝子発現が抽出された。その中で特に発現量の差が大きく、統計学的に有意な遺伝子について、特異抗体を用いた免疫組織化学およびウエスタンブロットで蛋白発現との正の相関を確認した。 膠芽腫細胞株の実験ではLRG1を発現抑制(ノックダウン)した細胞でMatrigel浸潤アッセイを行ったところ腫瘍細胞の浸潤亢進が認められ、外因性LRG1投与がこれを抑制することを見出した。一方でWST-1増殖アッセイではLRG1発現抑制は膠芽腫細胞の増殖には影響を及ぼさないことが示された。以上よりLRG1が膠芽腫細胞の浸潤低下に関与しており、先行研究で示したLRG1高発現が予後良好因子であることが支持された。一方で、浸潤に関与する幹細胞性については未評価であるため、今後、幹細胞株を用いた基礎実験を要する。患者由来新鮮手術検体から初代培養を行い、3種類以上の幹細胞株の樹立を行う。これら複数の膠芽腫幹細胞株に対してLRG1ノックダウンを行い幹細胞性の指標であるsphere形成能の上昇、幹細胞マーカーの発現上昇と外因性LRG1投与による効果相殺を確認する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
患者由来組織検体を用いた実験は概ね順調に進行している。申請者が樹立した膠芽腫幹細胞株に増殖不良、sphere形成不良の不具合が生じており、新たに樹立する必要がある。あわせて市販の膠芽腫細胞株からの幹細胞樹立も試みている。
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今後の研究の推進方策 |
網羅解析と細胞実験の結果からLRG1の膠芽腫細胞の浸潤抑制効果には幹細胞性の低下が関与していることが推察される。膠芽腫幹細胞に対してLRG1発現抑制実験を行い、幹細胞性の低下をsphere forming assay、幹細胞マーカーのウエスタンブロットで評価する。
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