研究課題/領域番号 |
22K06991
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
濱崎 慎 福岡大学, 医学部, 教授 (90412600)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 中皮腫 / FISH / 良悪鑑別マーカー / 細胞診 |
研究開始時の研究の概要 |
悪性胸膜中皮腫と反応性中皮過形成の良悪鑑別において、中皮腫の遺伝子変異に基づいた検査、免疫組織化学によるBRCA1 associated protein 1 (BAP1)の核発現消失やMethylthioadenosine phosphorylase (MTAP)蛋白の細胞質発現消失の同定は、組織標本や胸水セルブロック標本を用いた病理診断に有用で、良悪の鑑別に関して特異度100%であり、組み合わせることによって診断感度が上昇する。病初期の胸水細胞診による診断精度の上昇が早期の中皮腫診断において非常に重要であるが、組み合わせによっても診断感度は80%前後であり、さらなる手法の追加が望まれる。
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研究実績の概要 |
本年度は胸膜中皮腫(MPM)と反応性中皮過形成(RMH)の鑑別におけるNF2 FISHの有用性について症例数の蓄積増加を主として取り組んできた。 組織標本におけるNF2 FISHヘミ欠失は、約50%をcutoffとして用いると特異度100%で運用可能である。またNF2 FISH単独あるいは既に有用な診断アッセイとして確立された9p21 FISH、MTAP 免疫染色(IHC)、BAP1 IHCとの併用についてMPM の症例数を76例まで増やして検討した。中皮腫において特徴的とされるNF2のヘミ欠失は44.7%(34/76例)に認めたが、上皮型(45.3%, 24/53例)、上皮型を含む二相型中皮腫(64.3%, 9/14例)で多く認められるものの、肉腫型(14.3%, 1/7例)、線維形成型(0%, 0/2例)では頻度は低く、上皮型MPM成分の診断により有効と考えられた。また既存の9p21 FISHやBAP1 IHCと併用することで、BAP1 IHC、MTAP IHC、9p21 FISHいずれの検査も陰性であった中皮腫7例のうち6例でNF2 FISHヘミ欠失陽性を認めたため、診断感度を98.7%(75/76例)まで高めることが可能であり、MPMの診断精度向上へ大きく貢献できるものと考えられた。 細胞診検体でも、セルブロックを用いた場合にはBAP1 IHC, MTAP IHC, 9p21 FISHで検出不可能であった症例の1例をNF2 FISHのヘミ欠失で診断可能で、組織と同様に診断感度の向上が可能であると考えられ、さらに症例を蓄積中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NF2 FISHの組織標本でのMPMとRMH鑑別における有用性は症例数を増やしての検討でも同様の成果が得られた。現在、細胞診への応用に取り組んでいる。細胞診では、セルブロック対象として検討を進めており、評価方法は組織標本と同様で問題ないことが確認されている。セルブロック内の個在性中皮腫細胞の同定にはAE1/AE3, D2-40, EMA, calretinin, HEG1などが用いられる。感度はCK AE1/AE3が最も高く、二重染色での染色性の低下も軽微ではあるが、D2-40やHEG1と同様に反応性中皮も同時に陽性となる。中皮細胞の同定と同時に良悪の鑑別を行うにはEMAの細胞膜陽性像が最も優れていたが、二重染色時の染色性の低下が著しく、症例ごとの個別対応を行うしかないのが現状であった。この点に関しては、さらに症例を蓄積して検討していく。
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今後の研究の推進方策 |
細胞診セルブロック検体に関しては、NF2 FISHの有用性について9p21 FISH, BAP1 IHC, MTAP IHCとの併用を含めて検討を進めており、同時に同定困難な中皮腫細胞の同定方法についても検討を加えている。 9p21FISH同様に、FISHの施行不能な施設でもMPMとRMH/RMCの鑑別に取り組めるよう、NF2を対象とした免疫染色手法の確立を検討し、より多くの施設で簡便に応用できる診断パネルの作製を進める。 セルブロックは施設ごとに作製条件が異なることも知られており、FISHやIHCに対する影響を詳細に検討し、診断のpitfallを明確にすることで日常診療に貢献したい。
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