研究課題/領域番号 |
22K06997
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49030:実験病理学関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
瀬戸 絵理 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (40431382)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 感染応答 / RNA顆粒 / processing body / Trypanosoma cruzi / P-body / 寄生虫感染 / 翻訳制御 |
研究開始時の研究の概要 |
P-body(PB)は RNA顆粒(mRNA-蛋白質複合体)のひとつで、mRNA分解などの翻訳制御機能をもつ。これまでの研究で、自然免疫リガンドの刺激あるいはウイルスや寄生虫の感染によって宿主細胞質でPBの形成が誘導されることを見出だした。またサイトカインなど感染防御に関わる宿主遺伝子がPBで翻訳調節を受けるという予備的知見を得た。そこで本研究では、寄生虫感染時に形成されるPBへの取り込みのターゲットとなる宿主mRNAを網羅的に同定する。同定したターゲット遺伝子の機能やそれらの翻訳制御におけるPBの機能を解析することで、mRNA代謝という観点から新たな感染応答制御機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
Processing body (P-body, PB)は真核生物におけるRNA顆粒(mRNA-蛋白質複合体)のひとつで、翻訳抑制やmRNA分解に機能すると考えられている。これまでの研究で、寄生原虫Trypanosoma cruzi (T.cruzi )の感染初期に宿主細胞でPBの形成が誘導されることを見出だした。本研究では、T.cruzi 感染応答時にPBでの発現制御を受ける宿主遺伝子を同定するため、PBの必須構成因子であるEDC4をノックアウトしたPB形成能欠損細胞 (EDC4KO)を樹立し、感染細胞のトランスクリプトーム解析を行った。その結果、EDC4KOではコントロールと比較して、T.cruzi 感染による炎症性サイトカイン遺伝子の発現や自然免疫関連シグナル経路の活性化が亢進することがわかった。さらに、EDC4KOに野生型EDC4をレスキュー(+EDC4)もしくはPB形成に必須の領域を欠いた変異型EDC4をレスキュー(+mtEDC4)した細胞を用いて、原虫感染によるサイトカイン産生がPB形成依存的に抑制されることを確認した。これらの結果から、原虫がPB形成促進により宿主の自然免疫応答を負に制御して感染を成立させている可能性を考えた。そこで次に、T.cruziを感染させたこれらのレスキュー細胞からEDC4をターゲットとした免疫沈降(IP)を行い、共沈RNAからcDNAライブラリを調整して次世代シーケンシングを行った。得られたシーケンスデータから、各クローンにおけるターゲット遺伝子のPBへの取り込み量(IP/input)の感染による変化(感染/非感染)を算出し、T.cruzi感染時特異的にPBに集積する複数の候補遺伝子を同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度はT.cruziを感染させたPBレスキュー細胞を対象としたRIP-seqを行った。解析の結果から、T.cruzi感染の初期にPBでの発現制御を受けると予想される複数のターゲット遺伝子候補を同定できたことから、研究計画は概ねスムーズに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
レスキュー細胞における発現差解析の結果から、感染時特異的にPBへの結合量が変化する複数の候補遺伝子リストが得られた。これらの候補遺伝子についてPBとの共局在を免疫沈降法やin situハイブリダイゼーション法などを用いて調べる。共局在が確認できた遺伝子群の機能とそれらのPBを介した発現制御機構を解析することにより、T.cruzi感染時に形成されるPBの宿主mRNA代謝における役割を明らかにしていく。
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