研究課題/領域番号 |
22K06998
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49030:実験病理学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
神田 泰洋 新潟大学, 医歯学系, 助教 (00436768)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | リンパ節 / ストローマ細胞 / 癌転移 |
研究開始時の研究の概要 |
リンパ節に転移した癌細胞はリンパ節を構成する組織細胞が癌支援環境を形成することでリンパ節内に定着し拡大していくと考えられる。本研究ではリンパ節の骨格を形成するストローマ細胞を中心とした微小環境内の癌支援メカニズムを解明していくとともに、免疫チェックポイント阻害抗体がリンパ節転移癌の癌支援環境を解除するメカニズムを明らかにしていく。これらを解明することにより、リンパ節転移癌による局所再発の新たな免疫治療戦略の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
リンパ節の組織微小環境は癌の転移や定着に有利に作用することが想定されるが、リンパ節ストローマ細胞による癌免疫への影響は未だ不明である。昨年度の研究により、リンパ節ストローマ細胞が産生するケモカインが腫瘍巣の増大に寄与している可能性が示唆された。本研究ではリンパ節における癌支援微小環境の実態を明らかにするとともに、免疫チェックポイントによる癌支援環境解除のメカニズムを明らかにすることを目的とする。 本年度は、OVAを癌抗原として発現する癌細胞をマウスに接種し、リンパ節ストローマ細胞からCXCL12産生が欠如する遺伝子改変マウスの抗原特異的な応答について観察した。この結果、対照マウスに比べてCXCL12欠損マウスでは癌特異的CD8T細胞が増加した。さらにその際、制御性T細胞(Treg)が有意に減少する結果が得られた。対照マウスでは癌細胞接種とともにリンパ節内Tregの有意な増殖が見られたが、CXCL12欠損マウスではTregの増加は認められなかった。これらのことから、リンパ節ストローマ細胞から産生されるCXCL12は癌所属リンパ節におけるTregの増加に寄与することでリンパ節内抗がん免疫応答を抑制し、癌促進的に作用することが示唆された。そこでTregの影響を確認するため抗CD25抗体投与によりTreg除去を試みた。この解析ではがん特異的なT細胞の増殖が確認されなかったが、これは抗体による活性化T細胞増殖が抑制されたためと思われる。引き続きTregによるリンパ節内免疫応答への影響について解析していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遺伝子改変マウスを用いた解析により、ストローマ細胞由来CXCL12がTregのリンパ節内増殖を促進することでリンパ節内免疫応答を抑制していることを示唆できた。一方で、Tregがリンパ節免疫にどのように関与しているかについて、Tregの除去やCXCL12-CXCR4遮断による検討では明らかにすることができず、実験系の改善が必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
癌所属リンパ節ストローマ細胞由来CXCL12がTregを介してリンパ節免疫応答を抑制するメカニズムを明らかにするため、遺伝子改変マウスにおけるTregや癌特異的CD8T細胞を含めたリンパ節微小環境内での空間的な細胞の配置を免疫組織染色により解明していく。また、癌接種により増加してくるTregについてRNA-seqを用いてTregのフェノタイプや遺伝子発現を解析することで、Tregに対する CXCL12の作用を検討する。さらに、CXCL12-CXCR4遮断治療と抗PD-L1抗体療法による併用療法が癌による免疫抑制応答に有効かどうかについて評価する。
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