研究課題/領域番号 |
22K07001
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49030:実験病理学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
高娃 阿栄 三重大学, 医学系研究科, 助教 (50643805)
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研究分担者 |
川本 英嗣 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (20577415)
朴 恩正 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (20644587)
島岡 要 三重大学, 医学系研究科, 教授 (40281133)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 上皮再生 / 腸管上皮オルガノイド / 骨格筋マイオカイン / T細胞移入大腸炎 / オルガノイド / マイオカイン・アイリシン / 粘膜治癒 / T細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
骨格筋マイオカイン・アイリシンは骨格筋から分泌され、細胞表面受容体インテグリンに結合することにより、骨や神経再生を促進する作用に加え、腸管粘膜炎症を抑制することが示唆されているがそのメカニズムは依然不明である。アイリシンが上皮細胞インテグリンだけでなく、T細胞インテグリンに結合し、リンパ球活性化を制御するという予備研究データに基づき、本研究ではマイオカイン・アイリシンの抗炎症作用と粘膜治癒効果をT細胞移入慢性腸炎モデルと腸管上皮オルガノイドで検討する。
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研究実績の概要 |
炎症性腸疾患の治療には炎症抑制に加え、腸上皮を速やかに適切に再生し得る治療法の開発が重要である。申請者はこれまで、トロンボモジュリンなど内因性抗炎症分子が腸管上皮オルガノイドと腸炎マウスモデルで腸管上皮再生を促す新たな薬効を見つけ出した。本研究では、骨格筋から分泌されるアイリシンの腸管上皮再生に対する有効性の検討を行った。マウス腸組織から陰窩部を剥し、マトリゲル中3次元培養することで腸上皮オルガノイドを形成させた。作製した腸管上皮オルガノイドをアイリシン存在下に培養し、形態学的変化、腸上皮幹細胞マーカーおよび上皮分化マーカー発現量への影響を調べた。アイリシンの作用機序に関して、特定のインテグリンや細胞増殖シグナル伝達に焦点あて、インテグリン中和抗体とシグナル分子活性化を抑制する低分子阻害剤を用いて確認した。その結果、運動後の血中濃度に相当する有効用量のアイリシンが腸管上皮オルガノイドの細胞増殖・分化を積極的に促すことが確認された。アイリシンがWntシグナル伝達因子であるβ-カテニンとその標的遺伝子であるLgr5とCyclinD1の発現を有意に誘導する一方、Focak Adhesion Kinase(FAK)の活性化を促進することから、アイリシンがこれらシグナル伝達を介し腸管上皮増殖・分化を促進することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度の研究計画の内容に関して、予定していたアイリシンFC融合タンパク質の合成とマウス小腸上皮オルガノイドの培養実験に成功した。オルガノイドを用いた検討により、アイリシンの腸上皮再生への有効性が確認できている。この作用には、βーカテニンの安定化およびインテグリンーFAKを介したシグナル伝達が関与することが確認できているため、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、T細胞移入腸炎モデルを用いたin vivo実験により、骨格筋由来アイリシンの粘膜治癒効果を調べる。
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