• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

前肢に存在する「神経様細胞」の異常産生と、神経芽腫発症の共通分子基盤を探る

研究課題

研究課題/領域番号 22K07023
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分49030:実験病理学関連
研究機関神戸大学

研究代表者

伊藤 圭祐  神戸大学, 医学研究科, 助教 (10575468)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワードシュワン前駆細胞 / 神経芽腫 / Phox2b / シングルセルRNAシーケンス / 交感神経系 / RNAシーケンス
研究開始時の研究の概要

シュワン前駆細胞(Schwann cell precursor: SCP)は、全身の神経軸索を取り巻くシュワン細胞に分化するだけでなく、色素細胞や結合組織、神経細胞など様々な細胞種に分化し、さらに小児悪性腫瘍・神経芽腫の形成にも寄与する。しかしこれら現象を支える分子基盤は不明である。我々は前肢内のSCPが神経様の細胞に分化する事を発見し、これらがある遺伝子の半減や神経芽腫関連変異により異常産生される事を発見した。このため、神経様細胞の異常産生と神経芽腫発症は、分子機構を共有すると考えた。本研究は前肢内神経様細胞の異常産生を誘導する分子機構を解明し、神経芽腫治療法の構築に応用する事を目指す。

研究実績の概要

シュワン前駆細胞(Schwann cell precursor: SCP)は、全身の神経軸索を取り巻いてミエリン形成に寄与するシュワン細胞に分化する。しかし近年、SCPは色素細胞や結合組織、神経細胞など様々な細胞種に分化する事が発見されてきた。また従来、副腎交感神経系細胞に分化する神経堤細胞に由来すると考えられていた小児悪性腫瘍・神経芽腫は、SCPにも由来する証拠が複数報告されている。しかしSCPからの分化転換、や腫瘍化に関連する遺伝子群の実態やそのメカニズムについては明らかになっていない。我々は以前、前肢内のSCPが神経細胞に分化する事を発見し、遺伝子Xの半減や神経芽腫ドライバー変異によりこの神経細胞が異常産生される事を発見した。このため神経細胞の異常産生と神経芽腫発症は、分子機構を共有するのではないかと考えた。
昨年度、我々は遺伝子Xのヘテロマウス前肢からSCPを単離し、これを用いてシングルセルRNAシーケンスを行うことに成功した。その結果、神経細胞のクラスターが野生型に比べてヘテロマウスでは増大しており、SCPから分岐していることを発見した。そこで今年度は、野生型マウスとヘテロマウスの神経細胞クラスターにおいて発現変動を示す遺伝子を同定し、ゲノム編集によるノックアウトマウスの作成を行うことで、遺伝子Xの下流制御遺伝子の同定を試みた。その結果、4遺伝子について、遺伝子Xの下流でSCP由来神経新生を制御している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本計画では神経芽腫ドライバー変異(Th-MycN)を掛け合わせた、遺伝子Xのヘテロマウスを用いてシングルセルRNAシーケンスを行う事を主目標としているが、4重変異体を作成する必要があるため(X; Th-MycN; PlpCreERT; Rosa-tdTomato)、掛け合わせに時間がかかっており、解析に十分な数のマウスを確保できていない。

今後の研究の推進方策

本計画の立案当初は、Th-MycNを持ったXヘテロマウスを作成し、シングルセルRNAシーケンスを行う予定であったが、掛け合わせに時間がかかっており、期間内にこの解析を終えられない可能性が出てきた。
一方で、我々は遺伝子XヘテロマウスのシングルセルRNAシーケンスにより、神経細胞クラスターにおいて、細胞分裂と関連した遺伝子の高発現を示すサブクラスターを発見し、これは野生型マウスに比べて増加していた。そのためこのサブクラスターに高発現する遺伝子群に着目し、Th-MycN変異マウスでこれら遺伝子群をノックアウトする実験を行うことにより、本計画の主目標である神経芽腫発症とSCP由来異所性神経新生の共通分子基盤を同定できるのではないかと考えている。そこで一旦、Th-MycNを持ったXヘテロマウスのシングルセルRNAシーケンスは中断し(ただし将来の研究のため、マウスの掛け合わせは継続する)、これらノックアウトマウスにおいて、SCP由来神経新生や神経芽腫発症への影響を探索する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Pcgf1 gene disruption reveals primary involvement of epigenetic mechanism in neuronal subtype specification in the enteric nervous system2023

    • 著者名/発表者名
      Putra Bayu Pratama、Ito Keisuke、Cirillo Carla、Sunardi Mukhamad、Koseki Haruhiko、Uesaka Toshihiro、Enomoto Hideki
    • 雑誌名

      Development, Growth & Differentiation

      巻: 65 号: 8 ページ: 461-469

    • DOI

      10.1111/dgd.12880

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] A Single RET Mutation in Hirschsprung Disease Induces Intestinal Aganglionosis Via a Dominant-Negative Mechanism2022

    • 著者名/発表者名
      Sunardi Mukhamad、Ito Keisuke、Sato Yuya、Uesaka Toshihiro、Iwasaki Mitsuhiro、Enomoto Hideki
    • 雑誌名

      Cellular and Molecular Gastroenterology and Hepatology

      巻: 14 号: 6 ページ: 1505-1524

    • DOI

      10.1016/j.jcmgh.2022.12.003

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Cellular Identity of Neurogenic Schwann Cell Precursors2024

    • 著者名/発表者名
      Hideki Enomoto & Keisuke Ito
    • 学会等名
      7th International Enteric Nervous System Development Meeting: Connection, Cross-talk and Collaboration
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Sox10 suppresses Schwann cell precursor-derived neurogenesis to prevent ectopic autonomic neurons and tumors2023

    • 著者名/発表者名
      Keisuke Ito and Hideki Enomoto
    • 学会等名
      Gordon Research Conference 2023, Neural crest and cranial placodes
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Sox10 suppresses Schwann cell precursor-derived neurogenesis to prevent ectopic autonomic neurons and tumors2023

    • 著者名/発表者名
      Keisuke Ito
    • 学会等名
      University of Washington and Kobe University joint symposium
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Neurogenic Schwann cell precursors are abundant, show differentiation plasticity and can be tumorigenic in mouse embryos2022

    • 著者名/発表者名
      Keisuke Ito and Hideki Enomoto
    • 学会等名
      6th International Symposium on Development of the ENS: the first 1000 days
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi