研究課題/領域番号 |
22K07032
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49030:実験病理学関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
石黒 亮 法政大学, マイクロ・ナノテクノロジー研究センター, 研究員 (70373264)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 天然変性領域 / 筋萎縮性側索硬化症 / シャペロン / グアニン四重鎖 / 神経変性疾患 / RNA / 液液相分離 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はRNA結合タンパク質FUS (fused in sarcoma)の機能とその破綻の分子メカニズム解明を目的とする。FUSは家族性及び孤発性の筋萎縮性側索硬化症(ALS)や前頭側頭葉変性症(FTLD)患者で遺伝子変異が見つかっている責任タンパク質である。申請者は最近、FUSが標的であるグアニン四重鎖に結合すると構造を大きく変化させることを初めて発見した。ALS患者由来のFUSアミノ酸変異がRNAとの結合や、構造変化にどの様に影響するのか。また、結果促進されるRNA顆粒の形成や凝集への影響が明らかになれば、現在不明の神経変性疾患発症機序解明に直結すると考えられる。
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研究実績の概要 |
これまでの先行研究で、天然変性領域がグアニン四重鎖RNAとの相互作用に重要である事が示唆された。従って、タンパク質単独では一定の構造を保持していないとされてきたこの領域がグアニン四重鎖と特異的に結合した際には何らかの構造をとる可能性が高い。単独と複合状態でのそれぞれの構造変化を円偏光二色性(CD)解析により経時的に確認。この際ALS患者由来の点突然変異タンパク質を用い、RNAシャペロン機能に影響を及ぼす変異のスクリーニングを行い、比較対象とする。既に準備段階で複数の変異候補を選抜しており、最終的にはRNAシャペロン機能の必須領域の特定が可能となった。 ALSは60歳以降の発症が一般的であるが、一部のALS変異は若年齢での発症が知られている。我々の先行研究で若年性ALS患者に由来するFUS変異(P525L)では凝集の極端な促進が確認されたことは興味深く、この変異が極めて稀な影響を及ぼすと考えられる。P525L変異FUSタンパク質はグアニン四重鎖非存在下でもこの性質を示す為、野生型との相違点を明確にする。P525L変異はタンパク質全体あるいは部分的な構造変化を惹起し、あたかもグアニン四重鎖RNAと結合した構造に類似すると考えられる。しかし、RNA無しで安定性を保つ事ができず、液液相分離で形成される液滴が野生型より早く崩壊すると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
非標準型の核酸構造グアニン四重鎖は塩基が内側に配置して水素結合でカルテット構造を形成しており、結合タンパク質は配列特異性を有さないと考えられる。配列ではなくその構造のみに依存して安定な結合を実現するには、結合と同時にグアニン四重鎖の構造自体に影響する可能性が考えられた。そこで円偏光二色性(CD)解析で、FUSを加えた状態でグアニン四重鎖構造を確認した。すでに、立体構造の大幅な構造の変化を検出し、変異が及ぼす影響を明らかにした。 凝集に関してはグアニン四重鎖と結合することが解っている低分子化合物の影響評価も実施し、RNAの構造変化に応じた差が検出できた。
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今後の研究の推進方策 |
FUSのRNAシャペロン機能、液液相分離、及び凝集についてin vitroで得られた結果の再現性を生理活性化状態で確認する為、培養細胞での検討は必要不可欠である。当初はFUS欠損ヒト培養細胞の購入を検討したが、次年度からはiPS由来の運動神経様細胞を用い、検討することとした。培養細胞内での液滴と凝集体の区別は、蛍光標識を用いたFRAP (fluorescence recovery after photobleaching) 解析及び、液液相分離の阻害剤である1,6-hexanediol を用いる。
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