研究課題/領域番号 |
22K07038
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49030:実験病理学関連
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
安井 文彦 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, プロジェクトリーダー (40399473)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 加齢 / 宿主因子 / 肺線維症 / 重症肺炎 / COVID-19 / ベータ株 / 重症化別 / 野生型マウス |
研究開始時の研究の概要 |
SARS-CoV-2の変異株の一つであるベータ株が、野生型マウスに感染して病態を引き起こすことを見出した。更に、その重症度はマウス系統や月齢によって異なり、重症度が増すにつれ、肺組織中ウイルス量が高く、サイトカインを含めた生理活性物質産生の制御不全が見られた。以上、同一ウイルス株の感染によって、軽症から致死的症状まで広範囲な病態を呈する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)マウスモデルを構築できたと考えられる。本研究では、呼吸器官がウイルス増殖を許容する機序とその重症化への寄与を解明することによって、COVID-19の重症化因子の同定と新たな治療戦略の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、呼吸器官がウイルス増殖を許容する機序と重症化への寄与を解明し、COVID-19の重症化因子の同定と新たな治療戦略の確立を目指している。 今年度は、SARS-CoV-2の変異株の一つであるベータ株の感染に対して脆弱であり、著しい体重減少と致死性肺炎を発症する老齢BALB/cマウスを中心に病態と炎症マーカーの解析を進めた。老齢BALB/cマウスでは、若齢のBALB/cマウス及びC57BL/6マウスに比べて、SARS-CoV-2ベータ株感染後のサイトカイン・ケモカインの産生量が多く、かつ持続的であることが判明した。更に、ウイルス感染から継続的に測定した48因子について、上記マウスの3群間で主成分解析と変数重要度スコア化を行った結果、病態の重症度に関連する15因子を見出した。また、肺組織からRNA抽出を行い、遺伝子解析試料を調製した。今後は、これら因子が重症肺炎に与える影響について、細胞移入や薬剤投与により解析を進める予定である。 更に、SARS-CoV-2ベータ株感染後に生存した老齢BALB/cマウスでは、感染14日後の肺組織中の感染性ウイルスは検出限界以下にまで減少していたが、体重は回復しておらず、間質性肺炎や炎症細胞浸潤などの病態は持続していた。また、マッソントリクローム染色及びエラスチカ・マッソン・ゴールドナー染色を用いた病理解析によって、広範な肺の線維形成が確認された。本モデルは、ヒトで見られるコロナ後遺症の解析に使用できる可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
試料の調製に時間を要した為、大規模遺伝子解析が当初計画よりもやや遅延した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに見出したサイトカイン・ケモカイン、および得られた遺伝子発現変動をもとに、病原性に関わる因子の同定を試みる。これら因子について、阻害剤や活性化剤が利用可能な場合には、それらを使用した際の表現系の変化を解析する。 また、上記解析で見出した因子のうち、組織線維化に関与する因子については、その阻害実験により、SARS-CoV-2ベータ株を感染させた老齢BALB/cマウスが示す線維症に対する改善効果を検証する。
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