研究課題/領域番号 |
22K07040
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49040:寄生虫学関連
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
入子 英幸 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (60346674)
|
研究分担者 |
吉野 健一 神戸大学, バイオシグナル総合研究センター, 助教 (90280792)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | Maurer's cleft / 熱帯熱マラリア原虫 / 生殖母体 / SBP1 / 原虫タンパク質輸送 / 接着分子 / マラリア |
研究開始時の研究の概要 |
熱帯熱マラリア原虫の生殖母体は、蚊体内における有性生殖に必須のステージである。感染者体内において、未成熟な生殖母体は骨髄実質に隔離されているが、成熟すると血流中に放出され、数日間自由に循環して蚊に取り込まれるのを待つ。この現象は、感染赤血球の性状が原虫タンパク質により改変されることにより引き起こされると考えられる。本研究では、感染者血流からの未成熟生殖母体の隔離という現象の分子基盤の解明を目的として、生殖母体感染赤血球の表面に発現する接着分子の同定を試みる。
|
研究実績の概要 |
熱帯熱マラリア患者の末梢血中には、リング期と成熟生殖母体が検出される。赤血球侵入24時間以降の無性生殖期では、感染赤血球表面にはknobと呼ばれる凸構 造が形成され、PfEMP1などの接着分子が発現し血管内皮細胞との接着が起こる。これに対し生殖母体期では、感染赤血球にknobが形成されずPfEMP1の発現もほと んど確認されないが、未成熟生殖母体が骨髄に集積することが報告されている。そのため、感染者体内における未成熟生殖母体の挙動は、無性生殖期とは異なる 分子機構に起因すると予想されるが、生殖母体期の原虫タンパク質輸送の詳細は明らかにされておらず、生殖母体感染赤血球表面の接着分子も同定されていない。 本研究では、熱帯熱マラリア原虫の生殖母体感染赤血球表面の接着分子を同定することを目的として、感染赤血球膜近傍に形成されるMaurer's cleftと呼ばれる膜構造に局在し、PfEMP1などの接着分子の輸送に関与するSBP1(skeleton bindingprotein 1)に着目して研究を行なっている。これまでに、生殖母体期におけるSBP1の発現プロファイルと詳細な分子局在を解析し、SBP1が生殖母体期のMaurer's cleftの指標となることを明らかにした。また、生殖母体期の原虫タンパク質輸送におけるSBP1の機能を明らかにするためにCRISPR-Cas9システムを用いてsbp1遺伝子欠損原虫を作出した。本年度は、未成熟生殖母体感染赤血球とSBP1抗体を用いた共免疫沈降実験および質量分析により、SBP1と相互作用する分子群を探索したところ、未成熟生殖母体期においてSBP1とPfHSP70-1およびPfHSP70-xが相互作用を示す知見が得られた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
未成熟生殖母体感染赤血球とSBP1抗体を用いた共免疫沈降実験および質量分析により、これまでに報告されていなかったSBP1とHSP70-1,HSP70-1との相互作用を示唆する知見を得ることができた。HSP70-xは、無性生殖期の感染赤血球のJ-dotと呼ばれる小胞に局在し、接着分子PfEMP1の輸送に関与することが報告されている。生殖母体期の原虫タンパク質輸送においてSBP1とHSP70-xの相互作用がどのような役割を果たしているのかは不明であり、今後解析を行う必要があると考えられた。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、sbp1遺伝子欠損原虫の表現型解析(無性生殖期および生殖母体期の発育、成熟生殖母体期の生殖体形成能など)を実施している。また、野生型原虫およびsbp1遺伝子欠損原虫の生殖母体感染赤血球を用いた表層プロテオーム解析を行い、SBP1依存的に生殖母体感染赤血球表面に輸送される接着分子を探索する予定である。
|