研究課題/領域番号 |
22K07067
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49050:細菌学関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
富田 治芳 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70282390)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | バンコマイシン耐性腸球菌 / 多剤耐性菌 / 高頻度接合伝達性プラスミド / pMG1型プラスミド / pELF1型プラスミド / バンコマイシン耐性腸球菌(VRE) / 高頻度伝達性プラスミド / 線状プラスミド |
研究開始時の研究の概要 |
腸球菌の多剤耐性化に寄与する新規の高頻度接合伝達性プラスミドであるpMG1型プラスミドとpELF1型線状プラスミドについて、それぞれの高頻度伝達性の分子機構を明らかにすると同時に、pELF1については線状プラスミドの複製と維持機構を明らかにし、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)を含む多剤耐性腸球菌に対する新たな制御法開発のための基盤とする。
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研究実績の概要 |
① pMG1型プラスミドの解析 今年度はpMG1型高頻度伝達性プラスミドpHTβの高頻度接合伝達の調節因子について解析を進め、以下の成果を得た。 以前に同定した接合凝集領域の転写を正に調整する因子であるtraB遺伝子の変異体の作成、分離を行った。接合凝集遺伝子内にプロモーターレスLacZ遺伝子が転写方向に挿入されたpMG1型プラスミドpHTβ::lacZにtraBの欠失変異を導入したtraB変異プラスミドを構築した。腸球菌宿主内においてlacZの転写活性は減弱したが、クローン化したtraBプラスミドの導入によって活性は完全に相補された。変異誘導性大腸菌宿主でtraBプラスミドに変異を導入し、腸球菌内でlacZの転写活性を相補できない変異プラスミドを得た。この変異プラスミドからtraBを再クローン化し、traBの機能を失った変異体を複数得た。現在、変異体について変異部位の解析を行っている。またRNA-Seq解析によってpHTβの網羅的な転写解析を行い、転写ユニットを同定した。 一方、VanD型耐性遺伝子をコードするpMG1型プラスミドpEF-Dの解析として、実験室内においてpEF-Dが野生型宿主E. faeciumからE. faecalisへ接合伝達可能であること、またバンコマイシン耐性の発現自体は極めて不安定で維持されないことを明らかにした。今年度はこれらの成果を論文報告した。 ② pELF1型線状プラスミドの解析 今年度はpELF1型線状プラスミドの複製と伝達に関する遺伝子領域を同定し、分子遺伝学的解析を行うために、E. faeciumを用いた効率的な変異導入システムの構築を行った。また分子遺伝学的な解析および各種解析ツールの構築を行うための適切な宿主E. faecium株を選択することを目的として、宿主候補となる複数の臨床分離E. faecium株の全ゲノム配列を決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
pMG1型プラスミドの解析については調節因子の解析として、traBの変異体の分離、作成と解析が順調に進んでいる。またVanD型高度バンコマイシン耐性遺伝子を運ぶ、pMG1型プラスミドpEF-Dの解析結果については論文報告を行うことができた。pELF1型プラスミドの解析については、安定した宿主であるE. faeciumの実験株の候補の選択と準備(全ゲノム解析)、及び効率的な遺伝子変異導入システムの構築を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通りに、pMG1型プラスミドについての研究を接合伝達領域の転写調節因子及び転写ユニットの詳細な解析を中心に進める。一方、pELF1型の解析については、E. faecium菌を用いての遺伝子解析ツールの構築を進めつつ、プラスミドの複製及び高頻度伝達性について分子遺伝学的な解析を進める予定である。
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