配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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研究実績の概要 |
本研究では、緑膿菌に対する病原性抑制薬の開発に向け、本菌のクオラムセンシング(QS)においてアシルホモセリンラクトン(AHL)レセプターとして機能するRhlRとQscRの作用機序の解析を進めている。以下に各課題に関する研究実績の概要を記述する。 1. RhlRの分子機能の解明 RhlRは極度に不安定であり、容易に凝集して失活する性質を持つ。本研究の目的は、活性を保持し、安定で単離精製が可能な改変型RhlRを最小限の変異導入により作出し、その分子機能を明らかにすることである。これまでに、G5K, G6D, L9D, G13D, P20Rの5種類の変異体(数字はアミノ酸番号を、その前後のアルファベットは、それぞれ置換前後のアミノ酸残基を一文字表記で示している)の可溶性を大腸菌発現系を用いて検討し、G6DとL9Dの両変異に可溶性を高める効果があることを発見した。今回、安定性を高める効果がより高い変異を特定すべく、G5D, G5E, G5R, G6E, G6K, G6R, L9E, L9K, L9R, G13E, G13K, G13Rの12種類の変異体の発現ベクターを新たに作製した。現在、これらの変異体の可溶性の確認作業に取り組んでいる。 2. QscRの作用機序の解明に向けたPA1895-1897の機能解析 QscRはQSの発動を抑制する働きを示すが、その作用はPA1895, PA1896, PA1897の3遺伝子(PA1895-1897)の働きを介して生じることが判明している。本研究代表者はPA1895-1897がコードしているのはAHLを分解または修飾する酵素(ここでは単に「AHL分解酵素」と称する)であると推察している。前回、緑膿菌の無細胞抽出液に、QscRとPA1895-1897に依存的なAHL分解活性が検出されたことを報告した。しかし、その後さらに検討を重ねた結果、両欠損株とも一定程度の酵素活性を保持していることが確認された。このことから、AHL分解酵素の正体がPA1895-1897ではない可能性、あるいはPA1895-1897以外に第二の酵素が存在する可能性があるものと推察した。
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