研究課題/領域番号 |
22K07073
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49050:細菌学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
羽田 健 北里大学, 薬学部, 講師 (00348591)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | サルモネラ / T3SS-2 / 細胞死 / エフェクター |
研究開始時の研究の概要 |
サルモネラ属細菌(サルモネラ)の多剤耐性化と易感染宿主に対する侵襲性の問題により、本菌感染症に対する新たな予防法および治療法の開発が求められている。研究代表者は近年、サルモネラによるマクロファージ細胞死に焦点をあて、この細胞死誘導に関わる病原因子を同定した。またサルモネラによるマウスマクロファージ様培養細胞に対する細胞死誘導性と腸炎モデルマウスの全身感染性が関連することを見出した。本研究課題ではサルモネラによるマクロファージの細胞死誘導機構を解析し、サルモネラの新たな宿主生存戦略を解明する。本研究の成果は、サルモネラ感染症に対する新たな感染予防および治療法の開発に繋がるものと期待される。
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研究実績の概要 |
サルモネラ属細菌は独立した2つのIII型分泌機構(type III secretion system: T3SS-1およびT3SS-2)を保有し、これらの分泌機構から宿主細胞内に直接分泌・注入され、宿主細胞の種々の細胞機能を錯乱するタンパク質(エフェクター)が病原性発揮において中心的な役割を担う。本研究ではT3SS-2によるマクロファージ細胞死の誘導機構を明らかにすることを試みる。 これまでにサルモネラに感染したマクロファージではT3SS-2によってCaspase-11依存的な細胞死(非典型パイロトーシス)の他、未同定の細胞死が誘導されることを明らかにした。また、Caspase-11 欠損マクロファージにおける未同定の細胞死はカテプシンB阻害剤(CA074-Me)の添加により抑制できることを見出した。しかし、カテプシン B 欠損マクロファージもCaspase-11欠損マクロファージと同様に細胞死が誘導され、この細胞死もCA074-Meにより阻害された。以上より、CA074-MeがカテプシンB以外のターゲットを阻害することで Caspase-11 非依存的細胞死を抑制することが示唆された。そこでCA074-Me添加・未添加のCaspase-11欠損マクロファージにサルモネラを感染させ、プロテオームを比較解析した。その結果、CA074-Me添加により発現量が増加したタンパク質を47種、低下したものを36種同定した。 一方で、Caspase-11欠損細胞にサルモネラの3つのエフェクターをコードする遺伝子を欠損したd3株を感染すると未同定の細胞死が見れなくなるが、特定のエフェクターの相補株のみ細胞死誘導能を回復した。このことから3つのエフェクターのうち、このエフェクターが未同定の細胞死誘導に最も重要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プロテオーム解析によりCA074-Meによって発現が変動するタンパク質を同定できたため。
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今後の研究の推進方策 |
同定したタンパク質のパスウェイ解析から予想された2つの細胞死誘導経路に注目し、阻害剤を添加した細胞や遺伝子欠損細胞にサルモネラを感染することで未同定の細胞死の誘導機構を明らかにする。また、その細胞死誘導機構に特定のエフェクターが関与するかを明らかにする。
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