研究課題/領域番号 |
22K07105
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49060:ウイルス学関連
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
長嶋 茂雄 自治医科大学, 医学部, 准教授 (60433116)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | E型肝炎ウイルス / レポーターウイルス / レプリコン / 生物発光タンパク質 / 粒子形成 / ウイルス放出 / 薬剤スクリーニング / ライフサイクル / HiBiTタグ / レポーターアッセイ / 化合物 / スクリーニング / 増殖抑制 |
研究開始時の研究の概要 |
E型肝炎ウイルス (HEV) 感染は、世界的に急性肝炎の主要な原因となっている。しかしながら、現在までE型肝炎に対する特異的な治療法は確立されておらず、有効な抗HEV薬の登場が望まれている。 本研究では、これまでに得られたHEV受容体に関する研究成果を踏まえ、レポーター遺伝子を搭載した感染性HEVを用いた新規スクリーニング系により、ウイルスと受容体の結合を阻害する化合物を同定する。また、粒子形成ならびに放出を阻害する化合物を同定し、感染培養系を用いて、これらの化合物の増殖抑制効果を実証する。
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研究実績の概要 |
これまでに、E型肝炎ウイルス(HEV)のキャプシド蛋白質にHiBiTタグを融合させた感染性の組換えHEV (HEV-HiBiT)を開発し、感染後期過程である粒子形成や放出を阻害する薬剤のスクリーニングに有用であることを報告した。また、感染中期過程であるHEV RNAの複製阻害薬の探索に有用なHEV-GLucレプリコンや感染初期過程である吸着や侵入を阻害する薬剤の探索に有用なHEV-nanoKAZも利用可能となっている。 本年度は、これらの3種類のレポーターシステムを併用した低分子化合物のスクリーニングを実施した。700種類の低分子化合物を用いたスクリーニングの結果、HEVの感染初期過程を阻害する化合物(21種類)、中期過程を阻害する化合物(3種類)、後期過程を阻害する化合物(13種類)をそれぞれ同定することができた。これらの化合物は、レポーターシステムを用いた解析において、濃度依存的な抗HEV活性を示した。また、同定された化合物のうち、1種類は初期過程と後期過程の2つの作用点を持つことが示唆された。感染後期過程を阻害する化合物の阻害機序について、HEV-HiBiTを用いて解析を行った結果、HEVの粒子形成を阻害する化合物と放出を阻害する化合物が含まれていることが明らかとなった。さらに、同定された複数の化合物では、野生型のHEVを用いた感染培養系においてもHEVの増殖抑制効果が認められた。 このように、3種類のレポーターシステムを組み合わせることにより、HEVのライフサイクルの特定のステップに作用する抗HEV候補薬を簡便かつ特異的にスクリーニングすることが可能となった。また、これらのレポーターシステムは薬剤のスクリーニングに有用であるだけでなく、いまだ解明が不十分なHEVのライフサイクルの研究にも応用が可能である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに、3種類のHEVレポーターシステムを用いた低分子化合物ライブラリ (700種類) のスクリーニングが終了しており、抗HEV活性を有する複数の化合物を同定することができた。これらの化合物について、感染培養系を用いた長期間での増殖抑制効果の解析が進められており、研究は当初の計画通り進捗している。今後はリバビリンやリトナビルなど、これまでに報告されている薬剤との併用によるHEV増殖抑制効果について感染培養系を用いて検証を行う予定である。また、作用機序の異なる新規化合物の併用による増殖抑制効果についても併せて検証を行う。 HEVの粒子形成を阻害する低分子化合物を同定するためのnanoBiTシステムについても予備検討が終了し、スクリーニングへと進展させることが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
HEV-nanoKAZを用いたスクリーニングにより、感染初期過程を標的とすることが明らかとなった化合物について、time-of-addition assayによりその作用機序を解析する予定である。吸着を阻害する化合物が同定された際には、HEV粒子と感染受容体との結合を阻害するか否かについても検討を行う。これにより、感染初期過程を阻害する化合物の作用機序を提示したいと考えている。 また、HEV粒子と相互作用することにより細胞内への侵入を阻害する化合物を同定するために、HEV-nanoKAZを用いたスクリーニングを実施する計画である。すでに、レポーター遺伝子 (nanoKAZ) を搭載した感染性を有する膜に覆われたHEV粒子(eHEV-nanoKAZ) と膜に覆われていないHEV粒子 (neHEV-nanoKAZ) は作出できており、スクリーニングに利用することが可能である。
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