研究課題/領域番号 |
22K07111
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49060:ウイルス学関連
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研究機関 | 公益財団法人神戸医療産業都市推進機構 |
研究代表者 |
塩田 智之 公益財団法人神戸医療産業都市推進機構, その他部局等, 研究員(上席・主任研究員クラス) (80616144)
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研究分担者 |
村松 正道 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 部長 (20359813)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | A型肝炎ウイルス(HAV) / 極長鎖脂肪酸 / RNAseq解析 / 脂肪酸合成酵素 / 脂肪酸伸長酵素 / A型肝炎ウイルス / レプリケーションコンパートメント / リピドミクス解析 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は急性肝炎ウイルスであるA型肝炎ウイルス(HAV)におけるゲノムワイドスクリーニングによりHAV生活環に重要な宿主因子を多数同定した。本研究では、脂質代謝に必須であるACC1並びに極長鎖脂肪酸合成に不可欠な17β-HSDの2因子のHAV生活環における役割に注目する。HAV感染細胞のRNAseq解析から脂質合成遺伝子の発現上昇を確認し、リピドミクス解析により極長鎖脂肪酸合成の促進が明らかとなり、両因子のHAV複製過程での必須性の知見も得られた為、HAVによる脂質リプログラムのメカニズムをウイルス・宿主両側面から明らかにし、他の肝炎ウイルスへの演繹を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的はA型肝炎ウイルス(HAV)のCRISPRゲノムワイドスクリーニングによって同定された脂質代謝に重要な役割を果たす、ACACA、HSD17B12のHAV生活環における役割を明らかにすることにより、HAVが脂質代謝を変化させ、極長鎖脂肪酸をどのように効率的な複製機構に利用しているかを明らかにすることである。各因子ノックアウト細胞による予備的な検討により、ACACAによりコードされるACC1、HSD17B12によりコードされる17β-HSD12がHAVの複製に重要であることが示唆されている。初年度に予定していた下記3項目について下記の様な結果を得ている。 ①KO表現系のAdd-back系の構築についてはセロチン酸(26:0)によるウイルス増殖の回復を確認した。 ②宿主側責任候補遺伝子の同定については、RNAseq解析により得られている感染後発現の増加する因子の内、脂肪酸伸長酵素ELOVL4はノックダウンによってウイルス増殖を抑制することが分かっていたが、感染後7日、14日においてタンパク質レベルで発現が増加していることを確認することができた。 ③SREBP成熟を介した極長鎖脂肪酸合成経路について検討を行なったが、感染後7日、14日においてタンパク質レベルでSREBPの成熟を観察することができなかった為、その他の経路を介したmTOR非依存的経路の存在が示唆される。 これらの結果から、極長鎖脂肪酸がHAVの増殖に重要であり、感染によるELOVL4の増加が極長鎖脂肪酸合成を促進するが、その合成経路はmTORに依存しないことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要の通り、初年度に予定していた3項目について概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2年目以降に予定している2つの項目の内、①極長鎖脂肪酸合成酵素のレプリケーションコンパートメント構成への関与を確認する為、蛍光標識極長鎖脂肪酸添加後のレプリケーションコンパートメント形成の有無についてイメージングを行う。本年度より、所属研究機関に超解像度顕微鏡が導入された為、当該機器を使用した詳細な解析を予定している。また、②ウイルス側責任遺伝子の同定として、極長鎖脂肪酸合成を促進する可能性が高いHAV2Bタンパク質の発現によるレプリケーションコンパートメントの構成とこれまでに同定された宿主因子の発現への影響を確認する。
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