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「重力ゲートウェイ反射」を制御する神経回路の解明と操作技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K07112
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分49070:免疫学関連
研究機関生理学研究所

研究代表者

山崎 剛士  生理学研究所, 生体機能調節研究領域, 助教 (70709881)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワードゲートウェイ反射 / 神経回路 / アデノ随伴ウイルスベクター / 血管ゲート / 交感神経 / 感覚神経 / 神経免疫 / ニューロモデュレーション
研究開始時の研究の概要

神経系と免疫系の機能連関が様々な慢性炎症性疾患の病態形成に関与する。本研究室では、免疫性神経疾患の一つである多発性硬化症モデルマウスを用いて、重力を起点とする神経回路活性化によって、中枢神経組織への免疫細胞の侵入口「血管ゲート」が形成され、浸潤した自己反応性T細胞により第5腰髄で病態が誘導される「重力ゲートウェイ反射」を発見した。本研究課題では、重力ゲートウェイ反射における血管ゲート形成に関与する神経回路を解明し、ウイルスベクターを用いた重力ゲートウェイ反射制御のための新規ニューロモデュレーション技術を樹立する。

研究実績の概要

神経系と免疫系の機能連関が様々な慢性炎症性疾患の病態に関与する。多発性硬化症のモデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎 (EAE) モデルマウスでは、重力を起点とする神経回路活性化により中枢神経組織への免疫細胞の侵入口「血管ゲート」が第5腰髄背側血管に形成され、浸潤した自己反応性T細胞によって第5腰髄を中心とした病態が誘導される (重力ゲートウェイ反射)。一方で、EAEマウスを睡眠障害ストレス下で飼育すると、ストレス中枢である室傍核の神経活性化を発端に、脳の特定の血管から自己反応性T細胞が脳実質に浸潤し、微小炎症を起点とした特定の神経回路の活性化を経て、上部消化管障害、心不全といった別の病態が誘導される。このマウスでは、重力ゲートウェイ反射で認められる腰髄の病態は抑制されるが、そのメカニズムは十分に理解されていなかった。2023年度は、重力ゲートウェイ反射を制御する神経回路の詳細を明らかにするため、ストレス環境下で重力ゲートウェイ反射を抑制する神経回路を解析することとした。
興奮性DREADDを発現する組換えアデノ随伴ウイルスベクター (rAAV) を室傍核に接種し、ケモジェネティクス法で室傍核の神経を活性化することを可能にした。このマウスに、MOG反応性のCD4陽性T細胞を尾静脈から移入した。その後、deschloroclozapineを毎日腹腔内投与して室傍核の神経を慢性的に刺激した。その結果、睡眠障害ストレス下で飼育したEAEマウスと同様に、腰髄病態の抑制が認められた。このマウスでは、脳の特定血管からCD4陽性T細胞が脳実質に浸潤していた一方で、下部腰髄の背側血管周囲へのMHCクラスII陽性細胞の集簇とCD4陽性T細胞の浸潤は抑制されていた。これらの結果は、室傍核の神経活性化が何らかの神経回路を介して重力ゲートウェイ反射を局所的に抑制することを示唆している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題は、重力ゲートウェイ反射における血管ゲート形成に関与する神経回路を解明し、ウイルスベクターを用いた重力ゲートウェイ反射制御のための新規ニューロモデュレーション技術を樹立することを目的とする。当初、L5 DRG感覚神経の投射を受けるニューロン、介在ニューロン、L5背側血管ゲートに投射する交感神経を解剖学レベル・分子生物学レベルで同定することを計画していた。しかし、2022年度、抗重力筋であるヒラメ筋に投射するL5 DRG感覚神経とL5背側血管ゲートに投射する交感神経が直接経シナプス接続する可能性を示唆する結果を得たことから、この神経回路に介入可能な他の神経回路を新規ニューロモデュレーション技術の標的とすることとした。2023年度は、睡眠障害ストレス下で重力ゲートウェイ反射を抑制する神経回路を解析し、脳の室傍核の神経活性化が下部腰髄背側血管における血管ゲート形成を阻害することを示した。特定の神経回路を刺激することで局所的に慢性炎症病態を制御する方法の実現が可能性を帯びてきたことから、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

2022年度に引き続き、ヒラメ筋に投射しているL5 DRG感覚神経とL5 交感神経間の神経ネットワークの詳細を明らかにする。経シナプス伝播してCre recombinaseを発現するrAAV1をCre依存的に蛍光タンパクtdTomatoを発現するAi14マウスのL5 DRGに接種することで、L5 DRG感覚神経が投射する神経細胞を蛍光標識し、組織透明化法を用いて広範に標識神経細胞を探索する。標識神経細胞を同定した後は、sc-RNAseqにより標識神経細胞の遺伝子発現プロファイルを解析し、特異的マーカー遺伝子の探索を行う。また、2023年度の研究に引き続き、睡眠障害ストレス下で重力ゲートウェイ反射が抑制されるメカニズムに関して、脳の室傍核とL5交感神経の間の神経ネットワークを明らかにする。具体的には、c-fos promoter下にCre recombinaseを発現するTRAP2マウスとAi14マウスを交配して得られたマウスを用いて、ストレス環境下で活性化される神経をtdTomatoで標識する。sc-RNA-seqによりストレス負荷により室傍核で活性化する神経細胞の遺伝子プロファイルを解析し、特異的マーカーの探索を実施する。また、室傍核神経の下流の神経回路についても組織学的解析を続ける。上記の手法により同定された神経細胞の神経核・神経節に、特異的マーカー遺伝子のプロモーター下で興奮性あるいは抑制性のDREADDを発現するrAAVを接種する。ケモジェネティクス法による慢性的な神経活動活性化あるいは抑制条件下にて、自己反応性T細胞を静脈接種し、血管ゲートを介した免疫細胞の浸潤、症状、病態形成への影響を評価する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] GM-CSF produced by local endothelial cells promotes survival of peripheral-derived myeloid cells during the pain-mediated relapse of CNS pathology2024

    • 著者名/発表者名
      S Matsuyama, R Yamamoto, K Murakami, N Takahashi, R Nishi, A Ishii, J Nio-Kobayashi, N Abe, K Tanaka, J-J Jiang, T Kawamoto, T Iwanaga, Y Shinohara, T Yamasaki, I Ohki, S Hojyo, R Hasebe, S Kubota, N Hirata, D Kamimura, S Hashimoto, Y Tanaka, M Murakami
    • 学会等名
      第13回 生理研‐ヒト進化センター‐脳研 合同シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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