研究課題/領域番号 |
22K07121
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49070:免疫学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
鈴木 淳平 愛媛大学, 医学系研究科, 助教 (20734239)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | T細胞老化 / リソソーム / オートファジー / Ca2+ |
研究開始時の研究の概要 |
加齢に伴う老化T細胞の増加は、発がん、易感染性や自己免疫疾患といった老化関連疾患発症の大きなリスクファクターとなります。申請者は、これまでにMenin欠損T細胞は野生型に比べ早期に老化形質を示すことを報告しています。この研究過程で、Menin欠損CD8 T細胞では、オートファジー誘導に関わるリソソームの機能異常が生じるとともに、オートファジーが減弱し、細胞内タンパク質・脂質やミトコンドリアの恒常性が破綻する現象を新たに見出しました。そこで本研究では、Meninによるリソソーム・オートファジー機能維持を介した、T細胞老化制御機構の解明を目指します。
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研究実績の概要 |
加齢に伴う老化T細胞の増加は、発がん、易感染性や自己免疫疾患といった老化関連疾患発症の大きなリスクファクターとなる。老化細胞では、リソソームの形態や機能異常が生じていることが報告されているが、細胞老化の誘導に関わるのかについては明らかとなっていない。本研究は、T細胞老化におけるリソソーム内Ca2+放出の役割を解明することで、T細胞老化の制御を介した老化関連疾患の発症予防や新規治療開発のための戦略を提示することを目指している。本年度は、野生型に比べ早期にT細胞老化の特徴を示し、リソソームCa2+量が増加するとともに、オートファジーが減弱する腫瘍抑制因子Menin欠損CD8 T細胞およびCRISPR-Cas9システムを用いた初代CD8 T細胞のin vitroノックアウト系を用いて解析を行った。リソソームCa2+の放出を目的としたCa2+放出チャネルアゴニストを処理したMenin欠損CD8 T細胞では、未処理のCD8 T細胞細胞にくらべ、オートファジーの減弱が回復し、細胞老化形質の誘導が部分的に抑制された。次に、リソソームCa2+の放出障害を目的とした、Ca2+放出チャネルノックアウトCD8 T細胞では、コントロール細胞にくらべ、オートファジーが低下するとともに、細胞老化の特徴が早期に誘導された。これら結果は、リソソームCa2+の放出がT細胞においてオートファジー状態の調節に関わることに加え、細胞老化の制御にも関与する可能性を示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、リソソーム内Ca2+のT細胞老化に与える役割を中心に検討を行った。 はじめに、オートファジーの減弱とT細胞老化の特徴を示すMenin欠損CD8 T細胞にCa2+チャネルのアゴニストを処理したところ、未処理の細胞に比べ、オートファジーの減弱が部分的に回復するとともに、T細胞老化の形質誘導も部分的に抑制された。次に、リソソームCa2+放出チャネルのオートファジーおよびT細胞老化に与える影響を解析するために、CRISPR/Cas9システムによるin vitroノックアウト系を用いて評価した。In vitroにおいて抗TCR/抗CD28抗体で刺激したCa2+放出チャネルノックアウトCD8 T細胞は、コントロール細胞に比べオートファジー減弱の特徴を示した。さらに、Ca2+放出チャネルノックアウトCD8 T細胞は、コントロールCD8 T細胞と比較して細胞老化のマーカーである細胞老化関連βガラクトシダーゼ陽性細胞の割合が増加することを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の解析結果から、リソソームCa2+の放出障害が、T細胞のオートファジー低下や細胞老化の一因となる可能性が示された。今後、Meninを介したCa2+チャネルの遺伝子発現および機能制御機構について検討するとともに、Ca2+の放出障害がオートファジー及びT細胞老化を制御する詳細な分子機構を解析する予定である。
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