研究課題/領域番号 |
22K07124
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49070:免疫学関連
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
竹内 新 東京医科大学, 医学部, 准教授 (00360579)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | T細胞活性化 / 免疫シナプス / 分子イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
がん免疫療法は免疫チェックポイント分子阻害剤の登場によって劇的な発展を遂げている。しかしT細胞の活性化は、予想以上に多くの抑制因子で厳重に押さえ込まれていることが判ってきた。がん免疫療法ではこの抑制を各々取り払い、T細胞を持続的に活性化することが課題となっており、各因子の制御機構の解明が鍵となる。本研究ではT細胞上に発現する制御因子であるCD6に注目し、分子の動きを顕微鏡により可視化して時空間的な視点からT細胞活性化の制御機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
T細胞の活性化は、予想以上に多くの抑制分子によって厳重に管理されている。T細胞の持続的な活性化が鍵となるがん免疫治療においては、それらの抑制を効率的に排除し、T細胞の抑制=疲弊をいかに回避できるかが大きな課題であり、各因子の制御機構の解明が重要である。本研究では、T細胞上に発現する制御因子CD6と、そのリガンドとして報告されているCD166に焦点をあて、1細胞1分子イメージングによる解析を用いてT細胞活性化制御機構を時空間的な視点から明らかにし、免疫療法開発の基盤を創出することを目的とする。 昨年度、CD166を組み入れた人工脂質二重膜の作成に成功した。この膜を用いて、リガンド存在下におけるCD6の動態について詳細に解析することができた。当初、CD6はリガンド非存在下ではTCRのマイクロクラスターと共局在してT細胞の活性化を抑制するが、リガンドと結合するとシナプスの外側に排除され、T細胞の活性化が促進されるという時空間的な制御モデルを想定していた。しかし結果は全く異なっており、リガンドとの結合でCD6がシナプスの外側に排除されることは無く、CD6のマイクロクラスター形成はより安定化し、TCRマイクロクラスターとの共局在もより顕著なものになった。これらの結果から、当初のモデルを一新させる必要性が生じた。CD166を発現させた抗原提示細胞を作成し、CD6とCD166の結合がT細胞活性化にもたらす影響をサイトカイン産生で比較すると、TCRとの親和性の高いペプチドで刺激を行った場合にはCD6やCD166の影響をあまり認めることが出来なかったが、親和性の低いペプチドで刺激を行った場合にはCD6の発現によってT細胞の活性化が有意に抑制され、CD166の存在で更に抑制が増強された。これらの結果とイメージングのデータを元に新たな制御モデルを考察中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予想とは全く異なる実験結果が得られたことから、新たな制御モデルを考えることが急務である。これから必要となる検証も大きく改める必要があるため、予定より進行状況はやや遅れていると考えられる。しかしリガンド存在下におけるCD6の動態を初めて確認することが出来た点や、生化学的解析から新たに分かってきた結果も揃ってきており、研究自体は進展している。
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今後の研究の推進方策 |
TCRとCD6のマイクロクラスターが共局在することでT細胞の活性化を抑制していることを示す目的で、CD6とTCRの共局在を阻害する必要がある。通常のリガンドでは阻害が誘導できなかったため、人為的にリガンドの分子の高さを変化させて、 阻害を試み、T細胞活性化への影響を確認する。また、CD6の働きは低親和性のペプチドリガンドの刺激を受けた際に顕著である可能性が高い。イメージングの結果と合わせてそのメカニズムを時空間的に考察する。
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