研究課題/領域番号 |
22K07134
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49070:免疫学関連
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研究機関 | 京都大学 (2023) 大阪大学 (2022) |
研究代表者 |
新庄 記子 京都大学, 高等研究院, 特定研究員 (60794039)
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研究分担者 |
岡部 泰賢 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任准教授(常勤) (50522124)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 酸化ストレス / 気道上皮細胞 / アルデヒド / 繊毛 / 肺炎 / 粘液繊毛浄化 / 脂質メディエータ / S1p / S1p受容体 / マクロファージ / B1細胞 / 脂肪組織 / アディポカイン / 気道免疫 / 自然Bリンパ球 |
研究開始時の研究の概要 |
エネルギー代謝系と免疫系の間には密接なクロストークがあり、免疫代謝という概念が注目されている。細胞レベルでの免疫細胞表現型は細胞内エネルギー代謝機構によって支えられ、また個体レベルでは、肥満などの代謝異常が免疫系に破綻を来たし自己免疫疾患や感染症重症化に繋がる。実際、リンパ系組織の多くは脂肪組織と空間的に近接し、脂肪細胞が分泌するアディポカインが「免疫代謝」に重要な役割を果たすことが明らかになってきた。本研究では、自然免疫B細胞ニッチとしてのmFALCに注目し、アディポカインを介した脂肪細胞-免疫細胞相互作用の動態と役割を、B細胞の恒常性維持と気道免疫応答を焦点に解析する。
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研究実績の概要 |
気道免疫制御の解析に並行して行なっていた、気道上皮細胞障害と修復機構の解析において進展が見られたので重点的に解析を進めた。 大気汚染物質(特にPM2.5)への曝露が喘息、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)など様々な呼吸器疾患悪化の要因となることは知られているが、そのメカニズムは明らかでない。大多数が大気汚染に晒される現在、そのメカニズムを理解することは新たな治療法の開発に向けて重要である。そこでPM2.5が酸化ストレスを誘導する事に着目し、酸化ストレス防御に係るアルデヒド脱水素酵素(ALDH)がPM2.5による気道上皮細胞損傷に対する耐性において果たす役割を解析した。 PM2.5の主要成分である多環芳香族炭化水素の1つであるナフタレンによるマウス気道上皮障害モデルにおいて野生型とALDH欠損マウスを比較したところ、ALDH欠損マウス(in vivo)およびALDH欠損マウス気道から単離した上皮細胞培養系(in vitro)において気道繊毛の修復異常が見られた。また、これらのマウスにおいて気道繊毛の役割である粘液輸送(粘液繊毛浄化)機能が低下することをin vivo およびex vivoにおいて確認し、大気汚染物質曝露による気道障害において、ALDH欠損が酸化ストレスに伴うアルデヒドの蓄積により繊毛の修復異常を来たし、その結果、気道浄化機能の低下を引き起こすことが示唆された。さらに、肺炎連鎖球菌感染モデルにおいてナフタレンに曝露したALDH欠損マウスは高い致死率を示した。これらの結果はALDHが、酸化ストレスに付随するアルデヒドの蓄積を防ぐことで、大気汚染に対する呼吸器防御に主要な役割を果たすことを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画であったアディポカインによる気道免疫応答制御機構の解析は、実験動物(マウス)の確保等の事情により遅れている。一方、同時に進めているALDH欠損マウスにおける気道上皮損傷・修復機構の解析において顕著な進展が見られたため当該研究を重点的に進めた。 in vivo および in vitroの系を利用し、ALDH欠損が気道上皮のストレス応答が重要な役割を果たすことを示す結果について、現在論文投稿準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画とは若干方向性が異なるものの、ALDHが気道上皮において果たす役割の解明は呼吸器の防御における重要な知見となると期待されるため、本研究をさらに進める予定である。具体的には薬剤によるALDHの活性化が気道防御にもたらす効果を、上皮の培養系およびマウスモデルにおける上皮修復過程および感染に対する抵抗性に注目して解析したい。当初の計画であった脂質メディエータによる気道免疫応答制御機構の解析も、同時に進める予定である。
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