研究課題/領域番号 |
22K07138
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49070:免疫学関連
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大木 拓究人 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (30878864)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 免疫学 / 不妊治療 / 産婦人科学 |
研究開始時の研究の概要 |
国内外を問わず妊娠維持機構の研究は、Tregの炎症抑制機能そのものに注目が集まっている。しかし、妊娠中期以降にはTregの除去による流産は誘導されず、妊娠における免疫学的寛容機構はいくつかの免疫抑制機構が重複して担っていると考えられる。申請者は、妊娠の最初期に必須である精子に対する寛容機構として、子宮内に侵入した物質に寛容を誘導するマクロファージを同定した。さらに、胎盤に存在する母体由来マクロファージは、MHCの不一致による拒絶反応を抑制する事を発見した。妊娠の成立、維持に関与する自然免疫系細胞の研究は始まったばかりであり、世界に先駆けて妊娠維持に必須の細胞集団を本申請を通して特定する。
|
研究実績の概要 |
研究代表者は、子宮に存在する炎症抑制性マクロファージを新たに同定した。さらに他のマクロファージサブセットを探索したところ、炎症誘導性のマクロファージも新たに発見し、全く異なる局在を示すことが明らかとなった。 実際の妊娠にどのような機能を持つのかを解析するため、新たに発見した炎症抑制性のマクロファージのみを欠損させる実験系を確立した。興味深いことに、新たに発見した炎症抑制性マクロファージを欠損させると着床不全が誘導されることを見出した。現在、着床並びに免疫寛容にどのように関与するのかを解析中である。 また、子宮に存在する炎症抑制性マクロファージを特徴付けるいくつかの細胞表面抗原を同定し、実際の発現をFACSにより確認することができた。その分化に必要と考えられる転写因子についても複数の候補を絞り込むことができたため、今後それらを欠損させた遺伝子組み換えマウスを作製し、妊孕性とその細胞の分化に障害がないかを確認する。 MHCが異なる個体間では皮膚移植が出来ないが、新たに発見した炎症抑制性マクロファージを同時に移植することにより、移植片の生着が延長するデータも得ている。この細胞は制御性T細胞や制御性B細胞のように、免疫抑制性の一翼を担う免疫細胞であると考えられる。この細胞の分化、維持機構を明らかにすることによって、不妊や移植の新たな治療に結びつく可能性がある。今後は制御性T細胞を含めた他の免疫細胞、非免疫細胞との相互作用にも焦点を当て研究を推進する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たに発見した炎症抑制性のマクロファージが妊娠に必須であることを証明し、さらには炎症誘導性のマクロファージを新たに発見することができたため。しかし、その詳細な機能や、他の細胞との相互作用については解析できていない。
|
今後の研究の推進方策 |
新たに発見した炎症抑制性のマクロファージのみを欠損させる実験系ができたため、他の免疫細胞、非免疫細胞との相互作用を明らかにする。また、妊娠に必須である制御性T細胞の誘導に、その抗原特異性を含めてどのような影響を与えているのかを明らかにする。今後、新たに発見した炎症抑制性マクロファージの分化に必須である転写因子の同定を試み、対外での培養を可能とすることを目指す。
|