研究課題/領域番号 |
22K07139
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49070:免疫学関連
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
近藤 元就 東邦大学, 医学部, 教授 (20594344)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ミトコンドリア / 胸腺細胞 / T細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
Special AT-rich sequence binding protein-1 (SATB1)はT細胞特異的遺伝子発現ネットワーク形成に関与する染色体構造調整因子である。SATB1をT細胞特異的に欠損するマウスの解析から、胸腺細胞の成熟や成熟T細胞の活性化などのT細胞運命決定機構にSATB1が重要である事を明らかにしてきた。最近、SATB1がミトコンドリア量を制御するmitochondrial transcription facotor A (TFAM)の発現を介してT細胞活性に必須である事も明らかにした。
本研究では、SATB1欠損下での胸腺細胞分化の障害が、TFAMに調節されているか否かを明らかにする。
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研究実績の概要 |
Special AT-rich sequence binding protein-1 (SATB1) は染色体構造調整因子であり、多くの遺伝子の発現制御に関与している。我々はこれまで、SATB1がT細胞特異的な遺伝子発現ネットワーク形成に関与している事を見出してきた。そしてT細胞の分化と機能にSATB1が必須である事を報告してきた。最近、SATB1がミトコンドリア量を制御するmitochondrial transcription factor A (TFAM) の発現に関与している事を明らかにした。SATB1欠損下で生じるT細胞分化障害にTFAMが関与するか、するならばどのように作用するのかを目的に解析した。
TFAM floxマウスとT細胞特異的に組換え酵素Creを発現するCD4-Creマウスとを交配した(TFAMcKOマウス)。TFAMcKOマウスの解析で次の事が判った。胸腺細胞の総細胞数は、野生型マウスに比べて1/3程度に減少していた。細胞表面の分化マーカーであるCD4とCD8の発現を基に胸腺でのT細胞成熟を調べた。その結果、CD4とCD8の二重陽性(DP)細胞からCD4陽性細胞への、あるいはDP細胞からCD8陽性細胞へのそれぞれの段階で軽微な成熟障害を認めた。CD24とTCRβ鎖の発現に基づいてさらに成熟度を解析した。TCRβ鎖の発現上昇に伴って発現低下するCD24の程度が、野生型マウスの場合に比べるとTFAMcKOマウスで僅かに障害されていることが判った。
以上の結果は胸腺内でのT細胞成熟過程にTFAMが関与している可能性を示唆する。認められた障害を詳しく解析する目的で、T細胞受容体(TCR)トランスジェニックマウスであるOT-IIマウス(CD4T細胞のTCRを発現)、あるいはHYマウス(CD8T細胞のTCRを発現)とTFAMcKOマウスとの交配を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TFAMcKOマウスの胸腺について解析した。TFAMcKOマウスでは野生型マウスと比べると、胸腺細胞の総数が有意に減少した。また、胸腺細胞の成熟が障害されている可能性も浮かび上がってきた。胸腺におけるTFAMの機能的関与が示唆されるが、成熟の障害についてはさらなる検討が必要と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
DP細胞からCD4単独陽性T細胞、あるいはCD8単独陽性T細胞への段階が障害されている可能性を示唆する結果を得た。CD4単独陽性T細胞へ、あるいはCD8単独陽性T細胞への分化するモデルである、TCRトランスジェニックマウス(OT-IIマウス、HYマウスのそれぞれ)とTFAMcKOマウスとの交配を開始した。交配して得たマウスを解析して正の選択や負の選択へTFAMが関与するか否かを明らかにしていく。
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