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大腸がんにおけるオンコメタボライト・L-2HGの分子基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K07150
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分50010:腫瘍生物学関連
研究機関大阪大学

研究代表者

田畑 祥  大阪大学, 蛋白質研究所, 特任講師(常勤) (30708342)

研究分担者 曽我 朋義  慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 教授 (60338217)
坂本 毅治  関西医科大学, 医学部, 教授 (70511418)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2022年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワード2-ヒドロキシグルタル酸 / がん代謝
研究開始時の研究の概要

がん細胞の悪性化は、特異的な代謝を必要とする。高増殖のがん細胞は、解糖系を亢進して増殖に有利なエネルギーおよび生体高分子を産生し、一方、がん幹細胞や抗がん剤耐性細胞は、グルタチオンなどの抗酸化物質を増加させて、低酸素や抗がん剤治療下でも生存することができる。
我々は、これまで知られていなかった大腸がんにおけるL-2HGレベルの亢進を見出している。L-2HGは、近年注目されている、直接的にがんの悪性化に関わる代謝物質:オンコメタボライトであるが、その分子メカニズムは十分に理解されていない。本研究では、我々独自の統合的オミックス解析から、大腸がんにおけるL-2HGの分子基盤を明らかにする。

研究実績の概要

がん細胞の悪性化は、特異的な代謝を必要とする。高増殖のがん細胞は、解糖系を亢進して増殖に有利なエネルギーおよび生体高分子を産生し、一方、がん幹細胞や抗がん剤耐性細胞は、グルタチオンなどの抗酸化物質を増加させて、低酸素や抗がん剤治療下でも生存することができる。我々は、ヒト大腸がん組織で独自の網羅的代謝解析(メタボローム解析)を行い、L-2HGレベルが有意に上昇することを、見出している。L-2HGは、近年注目されている、直接的にがんの悪性化に関わる代謝物質:オンコメタボライトであるが、その分子メカニズムは十分に理解されていない。

我々は、遺伝子発現(トランスクリプトーム)解析および、メタボローム解析を組み合わせた統合的オミックス解析によって、L-2HGが誘導する遺伝子発現および代謝制御機構を多角的に探索した。その結果、L-2HGは、アミノ酸代謝のマスター転写因子ATF4を活性化させることを見出した。また、L-2HGは、ATF4の標的遺伝子であるセリン合成経路のPHGDH、PSAT1、一炭素代謝のMTHFD2、アミノ酸トランスポーターのSLC7A5、SLC7A11などの発現を亢進し、アミノ酸代謝をリプログラミングすることがわかった。さらに、ヒト大腸がん組織および大腸がん培養細胞を用いた遺伝子発現解析で、L2HGDHおよびOGDH遺伝子の発現減少が、L-2HG産生を上昇させることが明らかになり、担癌マウスモデルでL2HGDHノックダウンは腫瘍を増大させた。これらの結果は、大腸がんにおけるL2HGの新規分子メカニズムを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

我々は、大腸がんにおけるL-2HGの分子基盤の解析を行い、これまでに次のことを明らかにした。

① L2HGは、アミノ酸代謝のマスター転写因子ATF4を活性化させる。② L-2HGは、ATF4の標的遺伝子であるセリン合成経路のPHGDH、PSAT1、一炭素代謝のMTHFD2、アミノ酸トランスポーターのSLC7A5、SLC7A11などの発現を亢進し、アミノ酸代謝をリプログラミングする。③ 鏡像異性体D-2HGと比べて、L-2HGのATF4を活性化させる作用は強い。④ 大腸がんにおいてL2HGDHおよびOGDH遺伝子の発現減少が、L-2HGを上昇させる。⑤ 担癌マウスモデルで、L2HGDHノックダウンは腫瘍を増大させる。

2022年度は、上記結果を論文化した (Tabata et al, Oncogene, 2023)。

今後の研究の推進方策

今後は以下の検討を行う。

① In vitroのプレリミナリーな検討で、L-2HGは、脂質代謝を変化させることが示唆された。複数の細胞株で、同様な代謝変化が起きるか検討する。② In vitroで観察された、L-2HG処理で誘導される脂質代謝変化が、ヒト大腸がん組織においても観察されるか検討する。③ L-2HGが脂質代謝を変化させる分子メカニズムの解析を行う。脂肪酸合成および分解経路の遺伝子発現解析およびその活性を調べる。

報告書

(1件)
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] L-2hydroxyglutaric acid rewires amino acid metabolism in colorectal cancer via the mTOR-ATF4 axis2023

    • 著者名/発表者名
      Tabata Sho、Kojima Yasushi、Sakamoto Takeharu、Igarashi Kaori、Umetsu Ko、Ishikawa Takamasa、Hirayama Akiyoshi、Kajino-Sakamoto Rie、Sakamoto Naoya、Yasumoto Ken-ichi、Okano Keiichi、Suzuki Yasuyuki、Yachida Shinichi、Aoki Masahiro、Soga Tomoyoshi
    • 雑誌名

      Oncogene

      巻: 42 号: 16 ページ: 1294-1307

    • DOI

      10.1038/s41388-023-02632-7

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Metabolomics of small extracellular vesicles derived from isocitrate dehydrogenase 1-mutant HCT116 cells collected by semi-automated size exclusion chromatography2023

    • 著者名/発表者名
      Hayasaka Ryosuke、Tabata Sho、Hasebe Masako、Ikeda Satsuki、Hikita Tomoya、Oneyama Chitose、Yoshitake Jun、Onoshima Daisuke、Takahashi Kumiko、Shibata Takahiro、Uchida Koji、Baba Yoshinobu、Soga Tomoyoshi、Tomita Masaru、Hirayama Akiyoshi
    • 雑誌名

      Frontiers in Molecular Biosciences

      巻: 9 ページ: 1049402-1049402

    • DOI

      10.3389/fmolb.2022.1049402

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Metabolic reprograming of cancer as a therapeutic target.2022

    • 著者名/発表者名
      Furukawa T, Tabata S, Minami K, Yamamoto M, Kawahara K, Tanimoto A
    • 雑誌名

      Biochim Biophys Acta Gen Subj

      巻: 1867 号: 3 ページ: 130301-130301

    • DOI

      10.1016/j.bbagen.2022.130301

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 大腸がんにおけるオンコメタボライト・2-ヒドロキシグルタル酸の役割2022

    • 著者名/発表者名
      田畑 祥、曽我 朋義
    • 学会等名
      第16回メタボロームシンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2023-12-25  

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