研究課題/領域番号 |
22K07154
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
川口 真紀子 宮崎大学, 医学部, 助教 (90405598)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | マトリプターゼ / 大腸癌 / 潰瘍性大腸炎 |
研究開始時の研究の概要 |
マトリプターゼはST14遺伝子によってコードされるII型膜貫通セリンプロテアーゼであり全身の上皮細胞や癌細胞で広く発現がみられる。ST14ノックアウト(KO)マウスは腸上皮のバリア機能が破綻し、炎症関連大腸癌を誘発することが報告されている。しかし、詳細な発癌メカニズムは不明である。本研究の目的は、マトリプターゼ KOによる発癌のメカニズムを明らかにし、ヒトの大腸発癌において、これまでとは全く異なった機序による新たな治療法の開発に繋がることが期待できる新たな知見を得ることである。
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研究実績の概要 |
マトリプターゼはST14遺伝子によってコードされるII型膜貫通セリンプロテアーゼである。ST14ノックアウト(KO)マウスは腸上皮のバリア機能が破綻し、炎症関連大腸癌を誘発することが報告されている。そのメカニズムを解析するために、腸管特異的にCre酵素を発現するVillin-CreマウスとSt14 floxed マウスを交配し腸管特異的マトリプターゼKOマウスを作製した。誕生したKOマウスを用いて時系列で腸管発癌の発生と癌の進展度を肉眼的、組織学的に観察したところ、生後約4週で杯細胞の減少や炎症がみられ、生後約5週で腸上皮に異型細胞が出現していた。生後約8週では、潰瘍性大腸炎にみられるような陰窩膿瘍や細胞異型もみられた。生後10週頃には半数以上のマウスに浸潤性の大腸がんがみられ、14週までにすべてのマウスが死亡した。次にマトリプターゼ欠損に伴う大腸上皮細胞自身の遺伝子発現変化が発癌を引き起こす可能性について検討するために、すでに当研究室で維持している全身でタモキシフェン誘導性にCreを発現するROSA-Cre-ERT2マウスとSt14 floxedマウスを交配し、タモキシフェン誘導性のマトリプターゼコンディショナルKOマウスを作製し大腸からのオルガノイド培養を試みた。樹立したオルガノイドにタモキシフェンを添加し、マトリプターゼを欠失させ、RNAを抽出しPCRアレイによりマトリプターゼノックアウトにより発現が変動する遺伝子の探索を行った。現在、遺伝子発現の解析をすすめ、大腸発癌との関連を検討しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腸管特異的マトリプターゼKOマウスを用いて時系列で腸管発癌の発生を観察したところ、生後4Wから再生異型/異形成がみられ、生後10W以降は効率に浸潤性の大腸腺癌を形成することが明らかとなった。また、タモキシフェン誘導性のマトリプターゼコンディショナルKOマウスから樹立した大腸オルガノイドを用いて、遺伝子の発現変動を現在解析中である。この中からマトリプターゼ欠失による発癌に関連があると考えられる分子や、シグナル伝達経路を今後しぼりこんでいく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
各週齢で統計学的解析が可能な頭数を確保するため、腸管特異的マトリプターゼKOマウスを用いた腸管の組織学的解析を継続して行う。昨年度行った大腸オルガノイドにおける遺伝子発現変動の解析を継続し、着目した遺伝子について、腸管特異的マトリプターゼKOマウス大腸組織での発現を検証する。また今後はオルガノイドからタンパク質を抽出し、蛋白レベルでの発現解析も開始する。 さらにマトリプターゼKOマウスから樹立した大腸オルガノイドの形態学的な解析も並行して行う。
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