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分裂期特異的ポリコーム崩壊と染色体不安定性

研究課題

研究課題/領域番号 22K07158
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分50010:腫瘍生物学関連
研究機関早稲田大学

研究代表者

寺田 泰比古  早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40212063)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2022年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワードポリコーム / 染色体異常 / 発がん / 分裂期制御 / 染色体分配 / 発癌機構 / 細胞周期
研究開始時の研究の概要

がん細胞には、染色体不安定性(CIN)によって染色体数が異なる異数性(aneuploidy)を持つ特徴がある。体細胞分裂における染色体の不均等分配は異数化を誘導し、がん化の一因となることが知られている。したがって、染色体分配の制御機構の解明は、がん化の分子機構を究明する上で重要である。申請者らは、転写抑制性のクロマチン・タンパク質であるポリコーム群タンパク質(PcG)が分裂期特異的に解離し、染色体の均等分配に必要であること、この制御の異常が染色体不安定性を誘導し悪性黒色腫などのがん化の原因となること解明することを目的としている。

研究実績の概要

ポリコーム群複合体の1つであるPRC1は、凝集することでPcG body を形成する。ヒト悪性黒色腫の9割以上ではPcG body の肥大化したCAP body を形成することが知られている。CAP body は、細胞周期依存的な挙動を示し、間期では凝集体形成、分裂期において拡散する(ポリコーム崩壊)。
しかし、CAP bodyの崩壊不全が起こると、染色体分配の際に、第1染色体の姉妹染色分体間でCAP body複合体を介した
架橋構造を形成することが当研究室で明らかになった。しかしながら、ポリコーム崩壊の詳細な分子メカニズムや生理的意義は未だ明らかになっていない。そこで、本研究では、ポリコームの崩壊異常が与える影響やその分子メカニズムおよび染色体異数化やがん化との関係性の解明を目的とした。
我々の先行研究より、CDK1 によるPHC2 S216のリン酸化によって起きるポリコーム崩壊が正常な染色体分配を制御し、崩壊不全の場合には架橋構造によって異数化をもたらす可能性が培養細胞株を用いた実験で示唆された。
そこで、本研究ではリン酸化されないPHC2 S216A変異が実際にマウス個体で腫瘍形成に寄与するか点変異マウスを作製することを試みた。また、染色体不安定化の分子メカニズムを詳細に解析するために、CRISPR-Cas9を用いたゲノム編集によって、ヒト結腸がん細胞のHCT116 細胞およびヒト網膜色素上皮細胞のRPE1 細胞へ、PHC2 S216A 変異導入を試みた。点変異マウスの作製に関しては、26 個体中5 個体でS216Aの変異が見られた。変異の有無の確認はPCRによるジェノタイピングとシークエンスにより行った。次に、HCT116細胞およびRPE1細胞への変異導入に関しては、pSpCas9(BB)-2A-Puro(PX459) V2.0 およびpSpCas9(BB)-2A-GFP(PX458)を用いて試みた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

我々の先行研究より、CDK1によるPHC2 S216のリン酸化によって起きるポリコーム崩壊が正常な染色体分配を制御し、崩壊不全の場合には架橋構造によって異数化をもたらす可能性が培養細胞株を用いた実験で示唆された。そこで、本研究ではリン酸化されないPHC2 S216A変異が実際にマウス個体で腫瘍形成に寄与するか点変異マウスを作製することを試みた。また、染色体不安定化の分子メカニズムを詳細に解析するために、CRISPR-Cas9を用いたゲノム編集によって、ヒト結腸がん細胞のHCT116細胞およびヒト網膜色素上皮細胞のRPE1細胞へ、PHC2 S216A変異導入を試みた。
結果:点変異マウスの作製に関しては、26個体中5個体でS216Aの変異が見られた。変異の有無の確認はPCRによるジェノタイピングとシークエンスにより行った。図1にシークエンス結果を示す。次に、HCT116細胞およびRPE1細胞への変異導入に関しては、pSpCas9(BB)-2A-Puro (PX459) V2.0およびpSpCas9(BB)-2A-GFP (PX458)を用いて試み、ホモと、ヘテロのPHC2 S216A変異が確認できた。

今後の研究の推進方策

今後、DNAメチル化阻害剤である5-Aza-2’-deoxycytidineをマウスに投与することでCAP body形成を促進させることや、悪性黒色腫の発生要因として挙げられる紫外線(UV)照射をおこなう。これらの外部要因により、変異個体と異数化やがん化の進行について検証していく。
また、群馬大学との共同研究で、、PHC2 S216A変異導入のトランスジェニックマウスの作製に成功したが、金沢大学がん進展研究所・腫瘍分子生物学研究分野・高橋智聡教授のグループとの共同研究で、トランスジェニックマウスの表現型の解析を行なっていく予定である。

報告書

(1件)
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 その他

すべて 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] CDK1による分裂期特異的なポリコーム複合体崩壊は正確な染色体分配を制御する2022

    • 著者名/発表者名
      谷川佳樹、浅井裕一郎、隈本宗一郎、寺田泰比古
    • 学会等名
      。第45回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [備考] Cdk1によるポリコーム複合体の崩壊は正確な染色体分配を保証する

    • URL

      http://www.chem.waseda.ac.jp/terada/topic/2021_cancer_assosiation.mp4

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2023-12-25  

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