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間質細胞による癌細胞分裂の制御メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K07163
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分50010:腫瘍生物学関連
研究機関秋田大学

研究代表者

伊藤 剛  秋田大学, 医学系研究科, 講師 (60607563)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワードCAF / 細胞分裂 / PGCC / がん微小環境 / 巨核・多核 / がん間質 / 癌関連線維芽細胞 / 多形型 / 間質細胞 / 巨核・多核癌細胞 / サイトカイン / 浸潤
研究開始時の研究の概要

癌細胞に教育された間質細胞は癌の浸潤や播種を促進する。申請者は (I) CAF (癌教育後の間質線維芽細胞) の刺激は、分裂した癌娘細胞を細胞集団からリリースさせる新規な癌分散機構を見出した。また、(II) 通常の単核癌細胞をマウス各臓器に移植した結果、膵臓や脂肪組織で巨核・多核の癌細胞 (GMN癌細胞) の出現する一方で、GMNを皮下移植すると、さらに多くのprogeny (子孫) 癌細胞が分裂して、誕生することを見つけた。本課題では個々のメカニズムを明らかにしていく。これらの進行を間質細胞が制御している事を検討する。

研究実績の概要

癌組織において、癌細胞の周辺には線維芽細胞が存在する。癌細胞と線維芽細胞がお互いに応答することで、癌の悪性度が高まることが知られている。癌細胞に応答した線維芽細胞はCAF(Cancer associated fibroblast)と呼ばれ、癌細胞の細胞間接着の解除とその後の移動を加速している。本課題では、CAF存在下において、細胞分裂を進める癌細胞は細胞間接着の解除および癌細胞集団(50-100細胞が細胞間接着により集合した状態)からの脱離(癌分散)を有意に進めることを見つけた。また、分裂のタイミングと同期して細胞集団の細胞間接着の歪みが生じ、細胞集団の移動が活発となるという分裂の波及効果を明らかにした。さらに、課題では癌予後を悪化させる巨核・多核の癌細胞についても注目してきた。この癌細胞で構成される癌細胞集団では、CAF存在下における細胞間接着の解除が増進されることを見つけた。
巨核・多核癌細胞の発現遺伝子を検討した結果、通常癌細胞と比較して増加および減少する遺伝子群を明らかにした。さらに、CAFの培養上清でこの癌細胞を刺激すると、いくつかの遺伝子の発現変動は大規模となった。巨核・多核癌細胞からはある頻度で多極の不等分裂により異常な娘細胞を産生するが、CAFの存在下ではこの娘細胞における細胞死の回避に繋がる可能性があり、癌組織での異質な癌細胞が増加すると考えられた。組織内での癌分散は浸潤・播種や転移へと繋がっていく。また、巨核・多核の癌細胞は膵臓、卵巣、肺などの多臓器で散見され、癌予後と相関することが知られている。本課題により新たに見つけた分散モデルの解明を進めることで、従来とは異なる癌分散の抑制を目指した医療応用へと発展できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

通常癌細胞に加えて巨核・多核の癌細胞集団が分散する様子を生細胞観察により可視化できた。現在、分裂期の細胞とその周辺細胞の動き、さらに細胞集団へと波及する影響(歪み)に注目して解析を進めている。また、生体内での癌細胞と間質細胞の応答を明らかにするため、マウス組織におけるマウス癌細胞と間質細胞間の細胞間応答の解明に着手している。マウス癌細胞株B16(悪性黒色腫由来)が巨核・多核化後でも細胞死を回避することを新たに見つけ、マウス臓器に通常B16細胞を移植し、巨核・多核化した癌細胞を抽出後、培養した巨核・多核癌細胞の遺伝子発現を解析できる段階にある。

今後の研究の推進方策

巨核・多核癌細胞の培養上清により刺激された線維芽細胞では、サイトカインやケモカイン産生が増加していた。(癌組織で想定される)通常の癌細胞と巨核・多核癌細胞で構成されるモザイク型の癌細胞集団は、線維芽細胞を含む癌間質において細胞間接着の解除と移動が顕著である可能性を考えた。本課題ではこのメカニズムについても明らかにしていく。
B16細胞は悪性度が高いため、臓器移植から1週間ほどで病態が急変してしまう。解析や観察に必要なB16細胞数を確保するために、抽出後はシャーレ上での培養により増殖させていく。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (12件)

すべて 2024 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (7件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Exosomes secreted by ST3GAL5high cancer cells promote peritoneal dissemination by establishing a pre-metastatic microenvironment.2023

    • 著者名/発表者名
      Misato Horie, Kurara Takagane, Go Itoh, Sei Kuriyama, Kazuyoshi Yanagihara, Masakazu Yashiro, Michinobu Umakoshi, Akiteru Goto, Junichi Arita, Masamitsu Tanaka
    • 雑誌名

      Molecular oncology

      巻: -

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] CCDC85A is regulated by miR-224-3p and augments cancer cell resistance to endoplasmic reticulum stress.2023

    • 著者名/発表者名
      Takahashi S, Takagane K, Itoh G, Kuriyama S, Umakoshi M, Goto A, Yanagihara K, Yashiro M, Iijima K, and Tanaka M
    • 雑誌名

      Frontiers in Oncology

      巻: 13 ページ: 1196546-1196546

    • DOI

      10.3389/fonc.2023.1196546

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Dynamics of Actin Cytoskeleton and Their Signaling Pathways during Cellular Wound Repair2022

    • 著者名/発表者名
      Yumura Shigehiko、Talukder Md. Shahabe Uddin、Pervin Mst. Shaela、Tanvir Md. Istiaq Obaidi、Matsumura Takashi、Fujimoto Koushiro、Tanaka Masahito、Itoh Go
    • 雑誌名

      Cells

      巻: 11 号: 19 ページ: 3166-3166

    • DOI

      10.3390/cells11193166

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Mi-PGCCによる腫瘍悪性化メカニズム2024

    • 著者名/発表者名
      伊藤剛、田中正光
    • 学会等名
      第41回染色体ワークショップ・第22回核ダイナミクス研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] MI-PGCCと線維芽細胞の連携した腫瘍悪性化2024

    • 著者名/発表者名
      伊藤剛、田中正光
    • 学会等名
      2024年がん関連三学会Rising Starネットワーキング
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 増殖性の巨核・多核癌細胞は線維芽細胞と協力して腫瘍の進行を促進する2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤剛、八代正和・田中正光
    • 学会等名
      第82回日本癌学会学術総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 巨核・多核化癌細胞と線維芽細胞の相互応答による腫瘍増悪への影響2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤剛、高金くらら、田中正光
    • 学会等名
      第89回日本生化学会東北支部例会・シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 線維芽細胞による新規の癌進展メカニズム2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤 剛、田中正光
    • 学会等名
      日本生化学学会東北支部第88回例会・シンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 巨核・多核癌細胞と線維芽細胞の応答による腫瘍悪性化2022

    • 著者名/発表者名
      福士 由真、伊藤 剛,高金 くらら、田中 正光
    • 学会等名
      日本生化学学会東北支部第88回例会・シンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 巨核・多核癌細胞はCAFと協調して腫瘍進行を促進させる2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤剛、八代正和、田中正光
    • 学会等名
      第81回日本癌学会学術総会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [備考] researchmap

    • URL

      https://researchmap.jp/Itoh_Go

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] research map 秋田大学・伊藤剛

    • URL

      https://researchmap.jp/Itoh_Go

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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