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HTLV-1感染細胞の免疫回避戦略と発がん促進機構に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K07172
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分50010:腫瘍生物学関連
研究機関鹿児島大学

研究代表者

中畑 新吾  鹿児島大学, 医歯学域ヒトレトロウイルス学系, 教授 (80437938)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワード成人T細胞白血病(ATL) / 腸内細菌叢 / ヒトT 細胞白血病ウイルス1 型 / 成人T細胞白血病 / CADM1
研究開始時の研究の概要

HTLV-1キャリアの数%が成人T細胞白血病 (ATL)を発症するが、感染防御免疫能の減弱によりキャリアでは日和見感染を合併し、慢性炎症状態が活発になる。我々はこの慢性炎症を引き起こす宿主環境因子の候補として腸内細菌叢の異常を同定した。本研究では、1)HTLV-1感染T細胞による感染防御免疫撹乱機構の解明、HTLV-1感染リンパ球と腸内細菌叢との腸管内相互作用の解明、2) 特異的腸内細菌叢変化に伴う慢性炎症促進機構とATL発症機構への関与の証明、を行う。以上の研究から、宿主と病原体・日和見感染の相互作用を踏まえた包括的ATL発症機構を明らかにし、発症予防法及び治療法の開発に繋げる。

研究実績の概要

成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)は、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)感染が原因で起こるCD4陽性の成熟T細胞性腫瘍である。ATL患者は極めて予後不良であり、日和見感染症や高カルシウム血症を高頻度に合併する。HTLV-1がコードする発がん因子Taxは細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の標的となり、HTLV-1感染T細胞の増殖を抑制する。しかし、約半数のATL症例ではTaxの発現が損失し、CTL応答が減弱する。また、ATLでは免疫関連分子の異常が報告されており、ATLの発がん過程における宿主免疫応答の異常の関与が推察される。今回、HTLV-1感染による免疫調節分子への影響を検討した。T細胞受容体(TCR)はウイルスやがん等の抗原認識を担うが、HTLV-1感染細胞株やATL細胞株ではTCRの発現が定常的に低下していた。次に、各種免疫関連分子の発現を調べたところ、HTLV-1感染細胞株やATL細胞株では、T細胞活性化マーカーの発現が見られ、また、TCRの補助受容体であるCD3の発現が低下していた。つまり、HTLV-1の持続感染によって、感染したT細胞の機能が損なわれることを示唆した。さらに、既報にあるように、ATL細胞株においてT細胞疲弊マーカーPD-1のリガンドであるPD-L1の発現上昇がみられた。T細胞疲弊は、ATL患者の病態に密接に関わる可能性があり、今後、HTLV-1+/ATL細胞によるT細胞疲弊機構に着目し、ATLの発がん過程や病態における免疫異常の関与を明らかにする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今回の研究結果からHTLV-1感染によって損なわれるT細胞シグナルあるいは免疫調節機構が示唆された。特に、T細胞疲弊は、HTLV-1感染細胞やATL細胞の免疫回避において重要な役割を担っている可能性を示唆する。これらの知見は、宿主とHTLV-1・日和見感染の相互作用を踏まえた包括的ATL発症機構の一端を裏付けるものであることから、概ね順調と考えられた。

今後の研究の推進方策

これまでに、HTLV-1感染リンパ球と腸内細菌叢との相互作用が明らかになり、さらに、特異的腸内細菌叢変化に伴うHTLV-1感染・ATL細胞の増殖促進機構が示唆された。ATLの発がん過程において、宿主免疫の撹乱は重要な促進因子となりうる可能性があり、今後、宿主とHTLV-1・日和見感染の相互作用を踏まえたATL発症機構の全体像を明らかにする。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Immunopathology of HTLV-1-Associated Adult T-Cell Leukemia/Lymphoma: A Comprehensive Review.2023

    • 著者名/発表者名
      Nakahata S, Enriquez-Vera D, Jahan MI, Sugata K, Satou Y.
    • 雑誌名

      Biomolecules

      巻: 13 号: 10 ページ: 1543-1543

    • DOI

      10.3390/biom13101543

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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