研究課題/領域番号 |
22K07176
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
白木原 琢哉 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30548756)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | リン酸化タンパク質 / スキルス胃がん / FGFR2 / 受容体型チロシンキナーゼ / リン酸化 |
研究開始時の研究の概要 |
スキルス胃癌は、間質組織の増生や胃壁内へのびまん性の浸潤形態、高頻度の腹膜播種を特徴とする難治癌であり、RTKの遺伝子増幅と活性化異常が悪性形質獲得に深く関わると考えられている。本研究では、びまん性浸潤や腹膜播種性転移に寄与する新規チロシンリン酸化タンパク質の同定を目指す。過去に同定したRTKの基質タンパク質群を統合的にノックアウトし、転移・浸潤の系を利用したスクリーニングからスキルス胃癌細胞の浸潤や転移に重要なチロシンリン酸化タンパク質及びシグナル経路を明らかにする。長期的には、一連の結果がスキルス胃癌の早期発見への診断マーカーや、新規治療法の開発への足掛りとなることを目指す。
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研究実績の概要 |
昨年度に続き、FGFR2シグナルの活性化しているスキルス胃がん細胞株で強くリン酸化修飾を受けるLSR (lipolysis-stimulated lipoprotein receptor)の機能解析を行った。LSRの複数箇所のチロシン残基をフェニルアラニンに置換した変異体を作製してFGFR2と共に過剰発現し、リン酸化標的部位を探索した。Y406を置換した変異体で最もリン酸化レベルの低下が認められた。FGFR2の活性化しているスキル胃がん細胞株では、コレステロール輸送体のVLDLの濃度に依存して細胞増殖が促進し、その増加率はFGFR2非活性化の胃がん細胞株と比べて高かった。このVLDLによる増殖促進作用にLSRの発現やリン酸化が関与するかどうかを検証するため、siRNAを用いてLSRのノックダウンを試みた。LSRの発現量を下げたスキルス胃がん細胞株では、VLDLへの感受性が減少していた。ただし、LSRのタンパク質を完全にノックダウンすることはできず、VLDLによる細胞増殖を強力に抑えることはできなかった。さらに、スキルス胃がんにおけるリン酸化LSRの機能を検討するため、VLDLを添加した細胞でのLSRの局在を観察した。VLDL添加1時間後にLSRの内在化を確認したが、FGFR2活性化阻害剤を用いてもその抑制効果は認められず、LSRリン酸化の機能を見出すことはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究立案当初に予定したノックアウトライブラリが完成していないため、浸潤・転移関連リン酸化タンパク質のスクリーニングが施行できていない。しかし、代わりに新規リン酸化タンパク質の機能解析を進行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
リン酸化LSRの機能解析を進める。LSRのノックダウンが不十分なため、CRISPR-Cas9システムを用いたノックアウトを計画中である。FGFR2が恒常的に活性化していない胃がん細胞にFGFリガンド刺激を与えることで、LSRのリン酸化やVLDLへの感受性の変化を調査することも予定している。 研究計画にあるコラーゲンゲルへの三次元細胞培養を利用した浸潤細胞のスクリーニングの実験系確立も進行予定である。
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