研究課題/領域番号 |
22K07177
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
サンペトラ オルテア 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (50571113)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 脳腫瘍 / 幹細胞 / 可塑性 / 免疫応答 / 癌幹細胞 / 悪性脳腫瘍 / 表現型可塑性 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞の表現型の可塑性は細胞がゲノムの変化なく表現型のみを変化させる能力として理解されている。可塑性は個体発生において重要な役割を果たすことが知られているが、近年、癌細胞、特に癌幹細胞が環境の変化に適応する過程においても注目されている。しかし、腫瘍組織における表現型可塑性の実態が充分に解明されておらず、有効な阻害方法も確立されていない。 本研究では脳腫瘍幹細胞の表現型可塑性を誘導する微小環境因子を広く探索し、明らかにする。さらに、その制御因子を同定し、フェノタイプ・スイッチを予防あるいは阻害することで脳腫瘍幹細胞の治療抵抗性の克服を目指す。
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研究実績の概要 |
細胞の表現型の可塑性は細胞がゲノムの変化なく表現型のみを変化させる能力として理解されている。可塑性は個体発生において重要な役割を果たすことが知られているが、近年、癌細胞、特に癌幹細胞が環境の変化に適応する過程においても注目されている。しかし、腫瘍組織における表現型可塑性の実態が充分に解明されておらず、有効な阻害方法も確立されていない。申請者はこれまでの研究で、脳腫瘍幹細胞が代謝可塑性を発揮することで酸素や糖の不足に可逆的な適応反応を示し、そして、その際の表現型の変化が薬剤抵抗性を引き起こすことを見出した。 本研究では脳腫瘍幹細胞の表現型可塑性を誘導する微小環境因子を広く探索し、明らかにすることを目指し、2022年度はまず3つの評価系を確立した。 1.培養脳切片を用いたex vivo評価系の確立:正常脳並びに腫瘍を移植した脳より脳切片を作製、培養した。Iba1, CX3CR1等に対する抗体を用いたイメージングにより腫瘍細胞と脳内常在型免疫細胞の相互作用を可視化した。また、培養条件を変えることによって微小環境を変化させた上で切片より線条体、脳表などの部位ごとに組織を摘出し、フラクス・アナライザーで代謝を測定するアッセイ系を確立した。 2.免疫細胞の評価系の確立:脳切片ではマイクログリア、星状細胞など、脳内に存在する免疫応答関連細胞の解析が可能であるが、血流が途絶えているため、T細胞やB細胞などの全身免疫応答関連細胞の解析は困難である。末梢免疫系の影響を検証するため、正常脳並びに腫瘍を移植した脳の免疫細胞のみを単離し、10-15種類の細胞をフローサイトメトリーによって同時に解析することで微小環境の詳細な評価を行うことに成功した。 3.免疫応答が異なる腫瘍より3種類の脳腫瘍幹細胞を新しく樹立し、その遺伝子発現プロフィルの解析を始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
脳内常在型免疫細胞のライブイメージングによる可視化、そして、脳内常在型免疫細胞並びに末梢系免疫応答関連細胞の経時的な評価に成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
前年度確立した評価系を用いて、微小環境の代謝、免疫応答に注目し、脳腫瘍幹細胞のフェノタイプ・スイッチが誘導される条件を同定する。さらに、マルチオミクス解析を用いて遺伝子発現、メタボローム、エピゲノムプロファイルを明らかにし、制御因子候補を同定する。
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