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加齢性疾患克服に向けた漸進型の老化細胞除去療法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 22K07189
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分50010:腫瘍生物学関連
研究機関大阪大学

研究代表者

脇田 将裕  大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任助教(常勤) (70794668)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2022年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワード細胞老化 / セノリティックドラッグ
研究開始時の研究の概要

本研究は、全身に慢性的な炎症を促進する原因の一つである老化細胞を選択的に除去する化合物セノリティックドラッグに着目をする。既報のセノリティックドラッグは老化細胞を完全に死滅させることができない。そこで、老化細胞をより効率良く死滅させる方法を確立することを目的に、まずは既報のセノリティックドラッグによる共通の細胞死誘導メカニズムを解析することで、老化細胞の弱点を明らかにする。そして、得られた知見を元に、老化細胞をより効率良く死滅させる方法の確立を目指す。

研究実績の概要

加齢性疾患の発症原因の1つとして細胞老化を起こした老化細胞が注目されており、老化細胞の選択的除去法(セノセラピー)が様々なグループから報告されている。老化細胞の選択的除去薬剤はセノリティックドラッグと呼称され、我々はBRD4を標的分子とするARV825がセノリティックドラッグであることを見出していた。しかし、ARV825をはじめ、既報のセノリティックドラッグは老化細胞を完全に除去する能力はなく、生き残った老化細胞の特徴をRNA-seq解析で調べたところ、炎症に関与する分子の発現上昇が認められた。そのため、セノリティックドラッグ処理後に生き残る老化細胞がセノリティックドラッグによる加齢性疾患の治療効果を減弱させる可能性があるため、老化細胞をより効率良く除去する方法の開発を目指した。
以前の研究からARV825による老化細胞除去メカニズムとしてオートファジーの関与を見出していた。そこで、より詳細な細胞死誘導メカニズムを明らかにすることで老化細胞の弱点に迫ることとした。老化細胞にARV825を処理した際に生じるオートファジーは、実はオートリソソームが分解されず残存していた。実際にARV825処理後のリソソーム内pHの酸性化減弱が原因の1つであることを見出した。さらに、電顕解析などからオートリソソーム内にミトコンドリア蓄積が観察され、ミトコンドリア膜電位も低下していたことから異常ミトコンドリアの蓄積がROS産生を通じてARV825による老化細胞の細胞死誘導に関与する可能性を明らかにした。実際にARV825処理後に生き残った老化細胞のミトコンドリアは膜電位が回復していたことから、ミトコンドリアを標的とすることでより効率良く老化細胞を除去できることを想定している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ARV825による老化細胞除去のメカニズム解析から、老化細胞を効率良く除去するための標的としてミトコンドリアに絞りこむことができた。

今後の研究の推進方策

ミトコンドリアの損傷修復に関与する遺伝子をノックダウンした老化細胞にARV825を処理すると、より効率良く老化細胞を死滅可能となることが明らかとなった。そこで、ミトコンドリアを標的する方法について化合物などを用いて検討している。効率の良い老化細胞の新規除去法を見出した後、加齢性疾患モデルへの実施を計画しており、動物モデルを現在いくつか検討している。例えばApcΔ14マウスにて生じる大腸腫瘍は老化細胞の関与を通じて促進することを見出しており、本マウスモデルなどに新規老化細胞除去法を検討する予定である。

報告書

(1件)
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] SARS-CoV-2 infection triggers paracrine senescence and leads to a sustained senescence-associated inflammatory response2022

    • 著者名/発表者名
      Tsuji Shunya、Minami Shohei、Hashimoto Rina、Konishi Yusuke、Suzuki Tatsuya、Kondo Tamae、Sasai Miwa、Torii Shiho、Ono Chikako、Shichinohe Shintaro、Sato Shintaro、et al.
    • 雑誌名

      Nature Aging

      巻: 2 号: 2 ページ: 115-124

    • DOI

      10.1038/s43587-022-00170-7

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 新規Senotherapyがもたらすがん治療への可能性2022

    • 著者名/発表者名
      脇田将裕
    • 学会等名
      第45回日本分子生物学大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] Senolytic drugによる老化細胞除去の影響とがん治療への可能性2022

    • 著者名/発表者名
      脇田将裕
    • 学会等名
      第22回日本抗加齢医学会総会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [図書] 月刊「細胞」2023年2月号 セノリティクス2023

    • 著者名/発表者名
      中西 真
    • 総ページ数
      60
    • 出版者
      北隆館
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] BIO Clinica 2022年 12月臨時増刊号 老化はなぜ進むのか2022

    • 著者名/発表者名
      近藤 祥司
    • 総ページ数
      90
    • 出版者
      北隆館
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 生物の寿命延長2022

    • 著者名/発表者名
      南野 徹
    • 総ページ数
      460
    • 出版者
      エヌ・ティー・エス
    • ISBN
      9784860437732
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 実験医学2022年2月号2022

    • 著者名/発表者名
      高橋 暁子
    • 総ページ数
      139
    • 出版者
      羊土社
    • ISBN
      9784758125529
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2023-12-25  

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