研究課題/領域番号 |
22K07196
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 名古屋経済大学 (2023) 藤田医科大学 (2022) |
研究代表者 |
前田 真男 名古屋経済大学, 人間生活科学部管理栄養学科, 教授 (00769614)
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研究分担者 |
下野 洋平 藤田医科大学, 医学部, 教授 (90594630)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 卵巣がん / DPP4 / 脂肪細胞 / 腫瘍間質 / がん / 分泌因子 |
研究開始時の研究の概要 |
腫瘍の微小環境は多彩な細胞から構成されているが、脂肪細胞もその構成因子の一つである。私たちは脂肪細胞が卵巣がんを進展させる機構の解析から、脂肪細胞の分泌因子の一つであるDPP4 (Dipeptidyl peptidase 4, CD26)が卵巣がん細胞のがん幹細胞性の増強に関わることを見出した。本研究では、分泌因子の脂肪細胞に対するオートクライン作用、標的ペプチドの同定、がん幹細胞性を制御する分子機構、卵巣がん転移の解析を通して、脂肪細胞が分泌するDPP4ががん幹細胞性を制御する分子機構の解明をめざす。これらの検討により、腫瘍間質を標的とする新たながん治療の開発・実現をめざす。
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研究実績の概要 |
卵巣がん患者の手術検体から樹立したヒト異種移植腫瘍(PDX)と脂肪組織由来幹細胞(ADSC)を用いて、脂肪細胞から分泌されるDPP4と卵巣がんの進展について解析を行っているところである。標的タンパク質のN末端を切断してタンパク質の生物活性を失わせるペプチターゼであるDPP4は活性部位をC末端にもち、変異体(H750E)がペプチターゼとしての活性がないことはすでに知られている。本研究では、DPP4の発現、DPP4の活性とがんの進展についての関係について解析をすすめている。 (1)DPP4の野生型および失活型を強制発現させた脂肪細胞が卵巣がん細胞におよぼす影響の解析:私たちはDPP4の野生型とペプチターゼとしての活性を失わせた失活型(H750E)を強制発現させた脂肪細胞を樹立し、卵巣がんPDX細胞とともに免疫不全マウスに共移植した。DPP4の野生型を強制発現させた脂肪細胞と共移植した腫瘍は、DPP4の失活型を強制発現させた脂肪細胞と共移植した腫瘍、およびコントロールの脂肪細胞と共移植した腫瘍と比べて腫瘍が増大する傾向がみられた。 (2)GFPを恒常発現させた卵巣がん細胞株を免疫不全マウスの腹腔内に投与して腹膜播種させ、その後DPP4阻害剤を腹腔内投与後に開腹し腹膜播種したがん細胞を顕微鏡で観察した。DPP4阻害剤を腹腔内投与したマウスの腹腔ではGFPの発現が少ない傾向がみられた。 これらの結果より、脂肪細胞から分泌されているDPP4がC末端にある活性部位を介して、卵巣がんの進展や転移の促進に関与している可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
DPP4の野生型と失活型を強制発現させた脂肪細胞を卵巣がんPDXとともに免疫不全マウスに共移植させた実験では、DPP4の野生型の強制発現させた脂肪細胞と共移植した腫瘍で腫瘍が増大する傾向がみられたものの有意差がみられなかったため、再度実験を行う必要があると考えられた。また、GFP恒常発現卵巣がん細胞株を使った腹膜播種マウスへのDPP4阻害剤腹腔内投与実験も、再現性がとれていないため時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き研究計画に従って研究を推進する。DPP4の野生型と失活型を強制発現させた脂肪細胞を卵巣がんPDXとともにマウスに共移植する実験を行い、GFP恒常発現卵巣がん細胞株を使った腹膜播種マウスへのDPP4阻害剤腹腔内投与実験を行う。
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