研究課題/領域番号 |
22K07198
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 東京大学 (2023) 公益財団法人がん研究会 (2022) |
研究代表者 |
羅 智文 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特任研究員 (40816998)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 細胞老化 / Ferroptosis / がん関連繊維芽細胞 / 膵がん |
研究開始時の研究の概要 |
細胞老化は生体内で働く重要ながん抑制機構である一方で、老化した細胞が炎症性タンパク質などを分泌することで、様々な加齢性疾患を引き起こすことが知られている。近年の研究から、難治性がんである膵がんには老化したがん関連線維芽細胞が存在し、がんの悪性化に関わっていることが明らかとなっている。更に、申請者は老化したがん関連線維芽細胞が、プログラムされたネクローシスの一つであるFerroptosisに耐性を獲得していることを見出した。そのため、本研究ではこのFerroptosis耐性の分子メカニズムを解明することで、老化したがん関連線維芽細胞を標的とした新規膵がんの治療法の開発に繋げることを目標とする。
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研究実績の概要 |
細胞老化は、生体内で働く重要ながん抑制機構である一方で、老化した細胞が炎症性タンパク質などを分泌するSenescence-associated secretory phenotype(SASP)を起こすことで、様々な加齢性疾患に関与する可能性も知られている。申請者は過去に老化した肝星細胞ががん関連線維芽細胞(Cancer-associated fibroblasts: CAFs)として肝がんの発症と進展に関与することを明らかにしてきた。また、最近の研究からは、膵がんのがん微小環境には老化したCAFsが存在し、抗がん剤の浸透を妨げることや、抗腫瘍免疫を抑制することが明らかとなっている。申請者は老化CAFsがFerroptosisに耐性を獲得しているということを見出した。そのため、本研究は老化したCAFsのFerroptosis耐性の分子メカニズムを解明し、CAFsを標的とした新規膵がんの治療法の開発に繋げることを目指している。今年度、申請者は老化細胞のFerroptosis耐性機構を理解するために、正常細胞と老化細胞を用いてメタボローム解析とリピドーム解析を行った。その結果、老化細胞において脂質代謝が大きく変化していることを見出し、この脂質代謝の異常が老化細胞のFerroptosis耐性に関与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度、申請者は同定した老化細胞のFerroptosis耐性関連因子および、それに作用する低分子化合物を用いて老化細胞にFerroptosisを誘導できることを確認した。これらの結果は、CAFsを標的とした新規膵がんの治療法の開発に繋げることにとって非常に大きな進展である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、老化したCAFsのFerroptosis耐性の分子メカニズムを解明し、CAFsを標的とした新たな膵がん治療法の開発につなげることである。今年度、申請者は老化細胞のFerroptosis耐性に関与する因子に対して阻害効果のある低分子化合物を同定することができた。更に、該当の薬剤とFerroptosis誘導剤と共投与することにより、老化細胞にFerroptosisを誘導することができたので、今後はXenograftマウスモデルや膵がんKPCモデルマウスなどを用いて本研究で得られた成果を生体内で検証する。
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