研究課題/領域番号 |
22K07199
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
瀬戸 陽介 公益財団法人がん研究会, がん化学療法センター 基礎研究部, 研究員 (50738614)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | DNAメチル化 / 肺がん / 薬剤耐性 / DNA修飾 |
研究開始時の研究の概要 |
EGFR活性型変異陽性肺がんやALK融合遺伝子陽性肺がんの治療において、EGFRやALKを標的とした分子標的薬は劇的な腫瘍縮小と生存期間の延長をもたらしてきた。しかしながら、治療数年ほどでT790M(EGFR)やG1202R(ALK)などの薬剤耐性変異が高頻度に出現することが大きな問題となっている。突然変異率はエピゲノムの構造や遺伝子発現量と強い関係性があることから、本研究では、肺がん患者由来細胞を用い、薬剤処理によるエピジェネティックなDNA修飾の変化が耐性変異獲得の原動力となっているかを調べ、耐性変異獲得の分子メカニズムを解明することを目指す。
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研究実績の概要 |
肺がん患者の約30%を占めるEGFR活性型変異陽性肺がんや3~5%ほどのALK融合遺伝子陽性肺がんの治療において、EGFRやALKを標的とした分子標的薬であるチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)は劇的な腫瘍縮小と生存期間の延長をもたらしてきた。しかしながら、治療数年ほどでT790M(EGFR)やG1202R(ALK)などの薬剤耐性変異が高頻度に出現することが臨床上大きな問題となっている。本研究では、EGFR活性型変異陽性肺がんやALK融合遺伝子陽性肺がんに対するEGFR-TKIやALK-TKI治療の過程で、高頻度に出現する薬剤耐性変異がどのように出現するか、その分子メカニズムを解明することを目的としている。これまでに、T790M耐性変異の出現にはDNAメチル化や脱アミノ化酵素の働きが関与している可能性が示唆されているが、T790M以外の耐性変異の出現メカニズムはほとんど分かっていない。そこで、本研究ではまずEGFR-TKIやALK-TKI処理によってどのようなエピジェネティックなDNAの構造変化がEGFR活性型変異陽性肺がんやALK融合遺伝子陽性肺がん細胞において引き起こされるのか、DNAのメチル化パターンを調べた。今年度は特に、Oxford nanopore sequencerを用いたロングリードデータからDNAのメチル化を検出する系の確立に努め、がん細胞サンプルからゲノムワイドにDNAのメチル化を検出することが可能となった。これまでの結果から、複数のEGFR活性型変異陽性肺がんにおいて共通してEGFRのT790M変異サイトで高いDNAのメチル化が起こっていることを明らかとした。現在、ALK融合遺伝子陽性肺がん細胞に対しても同様に薬剤処理によるゲノムワイドなDNAのメチル化パターンの変化を調べているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は新たにOxford nanopore sequencerを用いたロングリードデータからDNAのメチル化を検出する系を確立することができた。これまでに、複数のEGFR活性型変異陽性肺がんにおいて共通してEGFRのT790M変異サイトで高いDNAのメチル化が起こっていることを明らかとした。さらに、ALK融合遺伝子陽性肺がん細胞についてもロングリードデータが得られているため、現在その解析を進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
今後はDNAのメチル化パターンがEGFR-TKIやALK-TKI処理によりどのように変動するのかを明らかにし、薬剤耐性変異が生じるDNA領域に特徴的なパターンが存在するのかを明らかとする。また、ゲノムワイドな変異解析やRNA-seqなども合わせて行うことでエピジェネティックなゲノム構造の変化領域と変異領域に相関があるかどうかを調べる。
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